イベント飲食の大量調理・製造能力|1時間に何食作れる?厨房の処理能力を計算する方法

TEAM CAFE TOKYOスタッフが大型イベント向けフードをライン方式で大量調理・盛り付けしている厨房

イベント飲食の大量調理は「何台あるか」ではなく1時間の完成数で考える

大型イベントで6,000食を販売する計画があっても、厨房が6,000食を作れるとは限りません。イベント飲食の大量調理では、オーブンやフライヤーの台数だけを見るのではなく、加熱、盛り付け、保温、包装、補充までを通した「1時間あたりの完成商品数」を把握する必要があります。

販売数予測や必要レーン数を計算しても、厨房側の製造能力がそれを下回れば商品は受け渡しまで届きません。逆に高価な設備を増やしても、盛り付け工程が遅ければ製造数は増えません。この記事では、既存の販売数計算やレーン数計算とは切り分けて、厨房内部の処理能力を数字にする方法を解説します。

販売能力と製造能力は別の数字

販売レーンが1時間1,000点を処理できても、厨房が700点しか完成させられなければ実際の販売上限は700点です。イベント全体の処理能力は、厨房製造、会計、受け渡しなど複数工程の中で最も能力が低い工程に制約されます。

そのため大型イベントの飲食レーン数計算と厨房能力は別々に計算し、最後に両方を比較します。

まず商品を工程へ分解する

一つの商品を「調理時間3分」とだけ考えると正確な能力は出ません。冷蔵庫から取り出す、加熱する、保温する、容器へ入れる、ソースをかける、トッピングする、蓋をする、受け渡し場所へ送るというように工程へ分解します。

各工程について、一回に処理できる数量と一回の処理時間を確認すると、どこが詰まりやすいかが見えてきます。

基本は「1回の処理数÷処理時間」で能力を出す

例えばオーブンで一度に30食を6分で加熱できる場合、理論上は1時間に10回転できるため300食です。ただし商品の出し入れ、予熱回復、清掃などがあるため、実際には理論値そのままでは運用できません。

そこで実運用では稼働率を掛けて考えます。理論300食で実効稼働率80%なら、目安は240食/時です。

フライヤーは揚げ時間だけで計算しない

フライヤーでは投入後に油温が下がり、連続投入すると回復時間が必要になります。一度に大量投入すると調理品質も不安定になります。そのためバスケット容量、適正投入量、揚げ時間、油温回復を含めて1サイクルを測ります。

冬季の屋外仮設厨房など環境条件によっても回復性能は変わるため、本番に近い条件で連続テストすることが重要です。

スチコン・オーブンは段数よりバッチ時間を見る

10段のスチームコンベクションオーブンでも、商品によって1段に載せられる数量が違います。さらに加熱時間だけでなく、ホテルパンの交換や商品移動にも時間が必要です。

1バッチの数量と次バッチ開始までの総時間を計測し、1時間に何バッチ回せるかを出します。設備選定は大型イベントの仮設厨房と連動させます。

電子レンジは少量対応には強いが大量処理では台数が必要

電子レンジは個別加熱や仕上げには便利ですが、1回あたりの処理数が少ないため大量販売ではボトルネックになりやすい設備です。1商品90秒で1食ずつなら、理論上でも1台40食/時です。

ピーク1時間に400食必要なら単純計算で10台相当となり、電源、設置スペース、人員まで増えます。商品設計そのものを変更した方が合理的な場合があります。

加熱後の盛り付け能力を必ず測る

大型イベントでは加熱設備より盛り付けが遅いケースが少なくありません。ご飯、主菜、ソース、トッピング、蓋という5工程がある商品では、それぞれの作業速度が全体能力に影響します。

一人で完成まで作る方式と、工程別に分業するライン方式の両方を試し、必要人数と1分あたり完成数を比較します。

1人30秒なら必ず1時間120食とは限らない

30秒で1食を盛り付けられるなら理論上120食/時ですが、容器補充、食材交換、清掃、声掛けなどの停止時間があります。連続30分や60分のテストを行うと、短時間計測より現実的な数字が出ます。

大量調理では最速タイムではなく、スタッフが継続できる平均処理能力を採用します。

ボトルネックは最も遅い工程で決まる

加熱400食/時、盛り付け300食/時、包装500食/時なら、そのラインの完成能力は原則300食/時です。加熱設備をさらに増やして600食/時にしても完成数は増えません。

設備投資を決める前に全工程を並べ、最も低い処理能力を改善する方が効率的です。

必要ライン数はピーク必要製造数から逆算する

ピーク1時間に900食を厨房から出す必要があり、1ラインの実効能力が300食/時なら3ラインが必要です。安全余力を持たせる場合は、機器停止や補充遅延を考慮して能力を少し高めに設計します。

販売需要そのものは大型イベントで必要な飲食販売数の計算方法からピーク数量を算出します。

SKUが増えると製造能力は単純に足せない

5商品を販売する場合、同じ設備を共有する商品があるとピーク時に競合します。フライヤーを使う商品が3種類あれば、それぞれの販売数ではなくフライヤー全体の処理量として確認する必要があります。

SKU別の需要と設備別の負荷を対応させることで、メニュー数を増やしたときの本当の影響が分かります。

商品ごとに専用ラインを作るか共通ラインにするか

販売量が大きい主力商品は専用ラインにすると安定します。一方、販売数が少ない商品まで専用設備・専用スタッフを配置するとコストが増えます。

主力商品は専用化し、低数量商品は共通工程へまとめるなど、販売構成比によってラインを分けます。商品構成はイベントフードのメニュー設計と合わせて検討します。

保温能力も製造能力の一部

加熱した商品を一時保管する場合、保温設備の容量が小さければ加熱を止める必要があります。製造能力が高くても中間在庫を置けないと、ピーク前の先行製造ができません。

ただし長時間の作り置きを前提に能力を増やすのではなく、品質・衛生条件を守れる範囲でバッファを設計します。衛生面はイベント飲食の衛生管理を基準にします。

容器・ソース・食材補充でラインを止めない

大量調理では調理担当者が容器を取りに行くだけでも完成数が落ちます。容器、カトラリー、ソース、トッピング、加熱前食材を誰がどのタイミングで補充するかを決めます。

製造担当と補充担当を分けることで、ラインを止めずに連続運転できるケースがあります。会場内の補充については大型イベント飲食の搬入・物流設計と接続します。

人員を増やしても能力が上がらない工程がある

作業台に1人しか立てないのに3人配置しても処理能力は上がりません。機器容量や作業スペースに上限がある工程では、人員追加より設備・レイアウト変更が必要です。

逆に盛り付けのように作業台を延長して並列化できる工程では、人員追加が能力向上につながります。スタッフ数は大型イベント飲食のスタッフ人数計算と相互に調整します。

厨房レイアウトは商品が逆流しない形にする

冷蔵保管から加熱、盛り付け、完成品、受け渡しへ商品が一方向に進む配置にすると、スタッフ同士の交差が減り処理速度も安定します。

設備単体の能力が高くても、人がぶつかる、完成品を運ぶ距離が長い、補充経路が交差すると実効能力は下がります。

電源容量不足は厨房能力をゼロにする

必要設備を並べても、同時使用できる電源がなければ計画上の能力は出せません。スチコン、IH、冷蔵庫、製氷機などの電源を積み上げ、同時使用条件を確認します。

設備別の容量計算は大型イベントの電源容量の計算方法で事前に確認します。

本番前は1食ではなく100食単位でテストする

試食用に1食作るテストでは大量調理能力は分かりません。可能であれば本番と同じ容器、機器、人数、工程で連続製造し、30分または1時間で何食完成するかを計測します。

その際、最初の10食だけでなく、食材補充や機器回復を含めた継続能力を確認します。ここで得た実測値を本番の人員・設備設計へ反映します。

ピーク前にどこまで先行製造するかを決める

ピーク需要が厨房能力を一時的に上回る場合、品質と衛生上許容できる商品についてはピーク前に一定量を準備する方法があります。

ただし先行製造を前提に設備不足を隠すのではなく、ピーク時間、保管可能時間、販売速度から必要なバッファ量を計算します。

複数日開催では初日の実績で能力設定を修正する

初日に商品別の製造数、ピーク時の完成数、停止原因を記録すると、2日目以降の配置を改善できます。想定より盛り付けが遅ければ人員を移し、機器能力に余裕があれば仕込み量を調整します。

こうした変更手順はイベント飲食の運営マニュアルへ組み込んでおくと判断が速くなります。

製造能力を数値化すると設備費と人件費を最適化できる

「念のため機器をもう1台」「不安だからスタッフを5人追加」という決め方では、イベント規模が大きくなるほどコストが膨らみます。工程ごとの処理能力が分かれば、必要な設備と人員を根拠を持って決められます。

同時に、販売目標に対して厨房能力が不足している場合も開催前に発見できます。売上を作るための厨房と、コストを抑える厨房を両立するには製造能力の数値化が必要です。

大型イベントでは販売数・厨房能力・レーン能力を一つにつなげる

イベント飲食の大量調理で重要なのは、厨房だけを強くすることではありません。必要販売数に対して厨房が十分な商品を作れ、その商品を販売レーンが同じ速度で処理できる状態を作ることです。

Team Cafe Tokyoでは、来場者数から販売数を予測し、商品ごとの工程、製造能力、必要設備、スタッフ、販売レーンまで一体で設計しています。大型イベントで「何食作れる厨房が必要か」から計画したい場合は、Team Cafe Tokyoまでお気軽にご相談ください。

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