仮設厨房の給排水設計|大型イベントで必要な給水・排水・シンク・タンク容量

イベントの仮設厨房でシンクと給排水設備を確認する様子

仮設厨房の給排水設計は「水が出る」だけでは成立しない

仮設厨房の給排水設計では、蛇口から水が出れば十分というわけではありません。大型イベントでは、調理、器具洗浄、手洗い、清掃、飲料、製氷など複数の用途で水を使い、その使用量に応じて排水も発生します。給水能力だけを見て設備を組むと、営業途中で給水タンクが空になる、排水タンクが満水になる、シンク待ちで作業が止まるといったトラブルにつながります。

本記事では仮設厨房の給排水設計に絞り、給水量・排水量・シンク・手洗い・タンク・配管・排水経路をどのように考えるかを整理します。厨房全体の設備構成は大型イベントの仮設厨房に必要な設備と分け、ここでは「必要な水量をどう見積もり、どこへ流し、どこで止めないか」を実務ベースで解説します。

仮設厨房の給排水設計は水を使う工程の洗い出しから始める

給排水設計は、使用水量の合計を出す前に用途を分解します。食材洗浄、器具洗浄、手洗い、清掃、加熱調理、ドリンク、製氷、床清掃など、水を使う工程は商品構成によって変わります。

「厨房で水を使う」ではなく、どの場所で、何回、どの程度の量を使うのかまで整理すると必要能力を見積もりやすくなります。

給水量は1日合計だけでなくピーク時間で見る

1日の必要水量が足りていても、ピーク時間帯にシンクや手洗いが同時使用されれば供給が追いつかないことがあります。大型イベントでは販売数が集中する時間帯に洗浄や補充も増えます。

総量だけでなく、ピーク時に何箇所が同時に水を使うかを確認します。

直接給水か給水タンクかで設計が変わる

会場に給水口がありホース接続できる場合と、給水タンクへ貯水して使う場合では必要設備が異なります。直接給水でも距離や高低差、ホース径によって流量が変わるため、現地確認が必要です。

タンク方式では、補給頻度とタンク容量まで含めて計画します。

給水口の位置は厨房配置より先に確認する

厨房レイアウトを先に決めてから給水口が遠いと判明すると、長いホースやポンプが必要になる場合があります。会場図面だけでは判断できないこともあるため、現地確認が重要です。

給水口、排水口、厨房位置を一体で見て仮設設備を配置します。

給水ホースは長ければよいわけではない

長いホースは取り回しが悪く、通路を横断すれば安全上の問題も出ます。必要以上に長くせず、踏まれない経路を確保します。

衛生面からも、食品を扱う用途に適したホースや接続部材を選定する必要があります。

排水量は給水量と同じとは限らない

給水した水のすべてが同量で排水されるわけではありません。商品へ使用される水、蒸発する水、氷として提供される水がある一方、洗浄や清掃ではほぼそのまま排水になります。

用途ごとに排水へ戻る割合を考え、排水タンクや排水経路の能力を見積もります。

排水先を確認せずに仮設厨房を組まない

イベント会場では、厨房排水を自由に流せるとは限りません。排水口の位置や利用条件、油分を含む排水の扱いなどは会場ルールに従います。

排水先が遠い場合は、タンク回収やポンプ搬送が必要になることもあります。

排水タンクは満水になる前に交換できる容量にする

タンク容量をギリギリにすると、ピーク中に満水となり厨房が止まるリスクがあります。満水までの想定時間と交換・回収に必要な時間を見て余裕を持たせます。

残量確認がしやすく、交換作業を安全に行える配置も重要です。

給水タンクと排水タンクは同じ考え方で置かない

給水タンクは衛生的に管理しやすい場所、排水タンクは漏れや臭気の影響を抑えられる場所が求められます。両者を近接させる場合も、ホースや接続を明確に分けます。

誤接続を防ぐため、色分けや専用継手を使う方法もあります。

シンクの数は商品数ではなく洗浄量から決める

商品が多いからシンクを増やすのではなく、どれだけ器具洗浄が発生するか、何人が同時に使うかで決めます。大量提供ではトング、ボウル、バット、容器などの交換頻度が高くなります。

洗浄待ちが発生すると調理ライン全体が止まるため、厨房能力と同時に確認します。

手洗い設備は調理用シンクと分けて考える

手洗いは衛生管理上の基本設備です。調理器具を洗うシンクと同じ場所だけで運用すると、ピーク時に使用が重なります。

具体的な衛生管理はイベント飲食の衛生管理と連動させ、必要設備は所管保健所へ事前確認します。

シンクの位置は作業動線を左右する

洗浄物を持ったスタッフが盛り付けラインを横切る配置は、作業効率と衛生の両面で避けたい設計です。汚れた器具の回収から洗浄、乾燥、再配置までの動線を作ります。

ブース全体の配置は大型イベントの飲食ブース設計と合わせて検討します。

洗浄前と洗浄後の置場を分ける

シンクだけ設置しても、使用済み器具と洗浄済み器具の置場が混ざると運用しにくくなります。回収台、洗浄、すすぎ、乾燥、戻しの流れを一方向にします。

作業台の面積も給排水設備と一緒に確保します。

油分の多い排水は処理方法を事前確認する

揚げ物や脂の多い料理では、洗浄排水に油分が含まれやすくなります。会場によって排水条件が異なるため、厨房排水の扱いを事前に確認します。

油を直接流さず回収する運用や、必要に応じた油分分離の方法を検討します。

床へ水を流す前提にしない

仮設テントでは常設厨房のような床排水がないケースが多くあります。清掃時に大量の水を流す運用はできない場合があります。

拭き取り清掃や回収容器を使うなど、会場条件に合わせた清掃方法を決めます。

給排水ホースがスタッフ動線を横切らないようにする

ホースを床に這わせると、つまずきや台車の引っ掛かりが起こります。厨房内の主要動線を避け、必要に応じて養生や保護材を使います。

搬入・補充動線は大型イベント飲食の搬入・物流設計とも干渉しないよう調整します。

ポンプを使う場合は電源も確認する

給水・排水ポンプを使う場合、その機器も電源負荷になります。厨房機器だけで電源容量を計算すると不足する可能性があります。

大型イベント飲食の電源容量の計算方法へポンプや周辺設備も追加します。

給湯が必要なら熱源も給排水設計へ含める

洗浄や衛生管理で温水が必要な場合、給湯器や貯湯設備、電源・ガスなどの熱源が必要になります。水量だけでなく必要温度と使用量を確認します。

給湯設備がピーク時に能力不足にならないかも事前テストします。

タンクは容量だけでなく重量を考える

水は大量になると非常に重くなります。大容量タンクを置く場合は床の耐荷重、搬入方法、設置場所、交換方法を確認します。

満水状態で簡単に移動できるとは限らないため、運用開始後の交換作業まで想定します。

給水補充の時間を販売ピークと重ねない

給水タンク方式では、補充作業中に一時的に水が使えない状態を作らないことが重要です。ピーク前に補充する、予備タンクを切り替えるなどの運用を考えます。

給水残量を誰が確認し、どの時点で補充を依頼するかも決めます。

排水回収も販売ピーク前に計画する

排水タンクの交換や吸引回収が必要な場合、作業車両やスタッフが厨房周辺へ入ります。ピーク中に行うと調理や物流を妨げる可能性があります。

満水予測から回収時刻を決め、イベントスケジュールと合わせます。

厨房の製造能力が上がるほど水使用量も増える

製造速度を上げるために人員や設備を増やすと、洗浄回数や手洗い回数も増えます。厨房能力だけ増強して給排水能力がそのままだと、新しいボトルネックになります。

イベント飲食の大量調理・製造能力と給排水能力をセットで確認します。

SKU数が増えると洗浄・保管も複雑になる

商品数が増えると専用器具や容器が増え、洗浄量も増えることがあります。共通器具を使える設計なら給排水負荷を抑えられます。

イベントフードのSKU数の決め方で商品数と厨房負荷を一緒に検討します。

開場前に実際に水を流してテストする

配管を接続しただけで営業開始せず、複数の蛇口を同時に開き、流量低下や漏れがないか確認します。排水側もシンクから水を流し、滞留や逆流がないか見ます。

営業開始前のテストで問題を出し切ることが重要です。

接続部の漏水は小さくても放置しない

わずかな漏れでも数時間続けば床が濡れ、転倒や衛生面の問題につながります。ホース接続、継手、タンク周辺を定期的に確認します。

予備の継手、ホースバンド、吸水資材などを準備しておくと現場対応が速くなります。

排水詰まりへの対応方法を決める

食材片や油分が流れると、ホースや配管が詰まることがあります。排水口へ異物を流さない運用を徹底し、必要に応じてストレーナーなどを使います。

詰まりが発生した場合に誰が対応するかも事前に決めておきます。

給排水設備も運営マニュアルへ入れる

給排水は設備担当だけが理解していればよいものではありません。現場責任者がタンク残量、漏水、排水異常の確認ポイントを理解しておく必要があります。

イベント飲食の運営マニュアルへ点検項目と連絡先を入れます。

保健所確認はメニュー確定前から進める

必要なシンク数、手洗い設備、給排水条件などは、自治体や営業形態、提供する食品によって確認事項が異なります。設備を発注してから不足が判明すると修正コストが大きくなります。

営業許可や届出についてはイベントで飲食物を販売する際の許可・保健所確認も参照し、所管保健所へ事前に確認します。

給排水設備費は見積段階で抜けやすい

厨房機器本体だけを見積もると、ホース、ポンプ、タンク、配管、継手、養生、回収費などが後から追加されることがあります。

イベント飲食の見積書で給排水関連費用がどこまで含まれているか確認します。

仮設厨房の給排水設計は厨房全体の処理能力を支える

仮設厨房の給排水設計は、単なる設備工事ではありません。必要水量、ピーク時の同時使用、シンク数、タンク容量、排水先、回収時間、給湯、電源、衛生条件まで一体で考えることで、仮設厨房を止めずに運営できます。

Team Cafe Tokyoでは、メニューと販売数量から厨房能力を逆算し、仮設厨房、電源、給排水、人員、物流まで含めて大型イベントの飲食設備を設計しています。会場に常設厨房がない案件で給排水まで含めて計画したい場合は、Team Cafe Tokyoまでお気軽にご相談ください。

合わせて読みたい→大型イベントの仮設厨房に必要な設備
大型イベント飲食の電源容量の計算方法
イベント飲食の衛生管理
イベントで飲食物を販売する際の許可・保健所確認

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