イベントの飲食出店はどう募集する?出店者の集め方・選定・管理方法を主催者向けに解説

イベントの飲食出店はどう募集する?
イベントやフェスで飲食エリアを作るとき、主催者側で悩みやすいのが「飲食出店者をどう集めるか」です。
キッチンカーや飲食店へ声をかければ簡単に集まるようにも見えますが、実際には店舗数だけを増やしても、良いフードエリアになるとは限りません。
似た商品ばかり集まったり、販売能力が足りなかったり、一部の店舗にだけ注文が集中したりすると、来場者満足度だけでなくイベント全体の売上にも影響します。
さらに主催者側では、出店者情報、販売メニュー、電源、火気、営業許可関係、搬入、ゴミ処理など、多くの情報を事前に管理する必要があります。
イベントの飲食出店は、単なる「店舗募集」ではありません。
来場者数に対して必要な飲食供給量を考え、その能力を満たす出店者を組み合わせることが重要です。
この記事では、イベント主催者・制作会社の方向けに、飲食出店者の募集方法、必要店舗数の考え方、選定基準、出店条件、提出書類、当日までの管理方法について解説します。
イベントの飲食出店は「何店舗集めるか」より「何食提供できるか」で考える
飲食出店を計画するとき、最初に「キッチンカーを10台呼ぼう」「飲食店を20店舗集めよう」と店舗数から考えるケースがあります。
しかし、本来先に確認したいのはイベント全体で必要となる飲食販売数です。
同じ10店舗でも、1店舗が1時間100点販売できる場合と30点しか販売できない場合では、イベント全体の供給能力が大きく違います。
そのため、飲食出店数は次の順番で考えます。
- 想定来場者数を確認する
- 飲食利用率を仮定する
- 一人あたり平均購入点数を設定する
- イベント全体の必要販売数を算出する
- ピーク時間の販売数を算出する
- 1店舗あたりの販売能力を確認する
- 必要な出店数を決める
この順番で考えると、「店舗数は多いのに行列が解消しない」といった状況を防ぎやすくなります。
まずイベント全体の飲食需要を予測する
例えば来場者5,000人のイベントを考えます。
飲食利用率を40%、一人平均1.5点購入すると仮定すると、
5,000人 × 40% × 1.5点 = 3,000点
となります。
イベント全体では約3,000点を販売できる体制が必要です。
ただし、この3,000点が開催時間中に均等に売れるとは限りません。
昼食時間、ステージ間の休憩、開演前などに需要が集中する場合は、ピーク時間の販売能力まで考える必要があります。
販売数の詳しい考え方については、大型イベントで必要な飲食販売数の計算方法|来場者数から発注数・安全在庫まで予測する方法で解説しています。
1店舗あたりの販売能力は商品によって大きく違う
飲食出店者を集めるとき、すべての店舗を「1店舗」と同じ単位で数えないことが重要です。
例えば事前に仕込んだ商品を短時間で提供できる店舗なら、1時間に100点以上販売できる場合があります。
一方、注文を受けてから一つずつ焼き上げる商品では、1時間に30〜40点程度しか提供できないこともあります。
そのため出店者へは、過去の販売実績や1時間あたりの最大提供数を確認します。
単純な店舗数ではなく、イベント全体で何点処理できるかを合計して考えることが重要です。
イベントに必要な飲食出店数を計算する
例えばピーク1時間に800点の需要があるイベントを考えます。
平均して1店舗が1時間80点販売できるのであれば、
800点 ÷ 80点 = 10店舗
が一つの目安になります。
ただし実際には店舗ごとに販売能力が異なります。
| 出店者 | 想定販売能力 |
|---|---|
| 店舗A | 120点/時間 |
| 店舗B | 100点/時間 |
| 店舗C | 80点/時間 |
| 店舗D | 60点/時間 |
| 店舗E | 40点/時間 |
この場合、5店舗で合計400点/時間です。
ピーク需要が800点なら、同程度の販売能力をさらに400点分確保する必要があります。
こうすると「10店舗必要」という数だけではなく、どの程度の販売能力を持つ店舗が必要なのかまで見えてきます。
出店店舗数を増やしすぎればよいわけではない
行列対策として店舗数を増やしたくなることがあります。
しかし出店者が多すぎると、1店舗あたりの売上が下がり、出店者側の採算が取れなくなる可能性があります。
来場者5,000人に対して飲食需要が2,000件しかないイベントへ、30店舗を集めれば、一部の人気店を除いて十分な売上が立たないこともあります。
出店者にとって魅力のないイベントになると、次回以降の出店募集にも影響します。
主催者側は、来場者の待ち時間と出店者の売上機会の両方を考えて店舗数を決める必要があります。
同じジャンルの商品ばかり集めない
飲食出店では店舗数だけでなく、商品構成も重要です。
例えば10店舗集めても、そのうち6店舗が揚げ物中心なら需要が偏ります。
イベント全体では、
- 主食
- 軽食
- 肉料理
- 麺・米類
- スイーツ
- ドリンク
など、ある程度ジャンルを分散させます。
また開催時間帯によっても必要な商品は変わります。
昼食時間をまたぐイベントなら食事商品が必要ですが、午後中心の短時間イベントならスイーツや軽食の需要が高くなることがあります。
価格帯も分散させる
商品ジャンルと同様に、価格帯のバランスも重要です。
すべての商品が1,500円前後になると、軽く食べたい来場者が購入しにくくなる可能性があります。
逆に低価格商品ばかりだと、出店者側の売上が伸びにくくなります。
例えば、
- 500〜700円の軽食
- 800〜1,200円のメイン商品
- 300〜600円のドリンク
- 500〜900円のデザート
など、購入目的に応じて価格帯を分ける方法があります。
イベントの客層や滞在時間を見ながら構成を決めます。
飲食出店者の募集方法は大きく3つある
飲食出店者を集める方法は、主に次の3つに分けられます。
既存ネットワークから声をかける
過去に出店実績がある店舗、飲食店、キッチンカーなどへ直接依頼する方法です。
運営実績や販売能力が分かっているため、初めての店舗だけで構成するよりリスクを抑えやすくなります。
一般募集する
イベント公式サイトやSNS、出店者募集サイトなどを使って広く募集します。
新しい店舗を集められる一方、応募者の販売能力や運営経験には差が出ます。
飲食運営会社へまとめて依頼する
主催者側で個別に店舗を集めず、イベント飲食を扱う会社へ出店者手配やフードエリア運営をまとめて依頼する方法です。
規模が大きいイベントや、主催者側に飲食運営の担当者がいない場合に利用されます。
飲食出店募集ページに記載する内容
一般募集を行う場合は、応募者が出店条件を判断できる情報を明確にします。
募集ページには、少なくとも次のような内容を記載します。
- イベント名称
- 開催日時
- 開催場所
- 想定来場者数
- 募集する出店形態
- 募集店舗数
- 出店料
- 売上歩率の有無
- 電源・給排水の条件
- 貸出可能設備
- 販売可能商品
- 禁止商品
- 搬入・搬出時間
- ゴミ処理方法
- 応募締切
- 選考方法
出店料や設備費を応募後に初めて伝えると、辞退が増える原因になります。
募集時点で分かっている条件はできるだけ明示した方が、その後の調整を減らせます。
出店料は固定・歩率・併用型がある
飲食出店者から主催者へ支払う費用には複数の方式があります。
固定出店料
売上に関係なく一定額を支払う方式です。
主催者側では収入を予測しやすい一方、売上が低かった場合は出店者側の負担が大きくなります。
売上歩率
売上の一定割合を主催者へ支払う方式です。
売上と連動するため出店者の初期負担を抑えやすい一方、正確な売上管理が必要になります。
固定+売上歩率
少額の固定出店料と売上歩率を組み合わせる方式です。
イベント規模や主催者側が提供する設備、集客力などを踏まえて設定します。
出店料だけで出店者を選ぶのではなく、イベント全体の飲食品質や供給能力とのバランスを見る必要があります。
応募時にはメニュー情報まで提出してもらう
出店希望だけを受け付け、採用後に商品を確認する運用では、メニューが重複しやすくなります。
応募時点で、
- 店舗名
- 販売予定商品
- 販売価格
- 商品写真
- 1時間あたりの販売可能数
- 過去のイベント出店実績
- 必要電源
- 火気使用の有無
- 必要給排水
などを提出してもらいます。
これによって商品ジャンルだけでなく、運営条件まで含めた選考ができます。
出店者の選定では売れそうかだけを見ない
SNSで人気がある店舗や見栄えの良い商品はイベントの集客要素になります。
しかし大型イベントでは、人気だけで選ぶと大量注文へ対応できない場合があります。
選定時には、
- 商品力
- イベントとの相性
- 販売価格
- 提供速度
- 過去のイベント実績
- 大量販売への対応力
- 衛生管理
- 必要設備
- 当日のスタッフ体制
まで確認します。
特にピーク時の販売能力は重要です。
100人規模のマルシェで人気だった店舗が、数千人規模のフェスでも同じように対応できるとは限りません。
イベント実績は「最大販売数」まで確認する
「イベント出店経験あり」という情報だけでは、大型イベントへの対応力を判断できません。
過去にどの程度の規模で営業したかを確認します。
例えば、
来場者1,000人規模で1日100食販売した店舗と、来場者30,000人規模で1日1,000食以上販売した店舗では、経験しているオペレーションが異なります。
応募フォームに、過去最大の1日販売数や1時間あたり販売数を記入してもらうと比較しやすくなります。
出店確定後は情報を一元管理する
店舗が決まった後は、主催者側で出店者情報を一覧化します。
店舗ごとにメールやチャットで情報をやり取りすると、最新版が分からなくなりやすいためです。
例えば管理表には、
- 店舗名
- 担当者
- 連絡先
- 販売商品
- 販売価格
- 出店形態
- 電源容量
- 火気
- 給排水
- 冷蔵・冷凍設備
- 必要備品
- 許可関係の提出状況
- 搬入車両
- スタッフ人数
などをまとめます。
数店舗なら簡単な表でも管理できますが、10店舗、20店舗と増えるほど一元管理の重要性が高くなります。
電源使用量は出店者ごとに事前提出してもらう
イベント飲食でトラブルになりやすいのが電源です。
冷蔵庫、冷凍庫、IH、炊飯器、ホットショーケースなど、店舗によって使用機器は異なります。
「100Vを使います」という情報だけではなく、機器名、台数、消費電力まで提出してもらいます。
それを全店舗分集計して、飲食エリア全体の必要電源容量を確認します。
大型イベントの電源計算については、大型イベントの飲食で必要な電源容量の計算方法|厨房機器・仮設電源の考え方で詳しく解説しています。
火気使用の有無も募集段階で確認する
ガスコンロ、フライヤー、鉄板など火気を使用する出店者がいる場合は、配置や安全管理にも影響します。
イベント会場によっては火気使用エリアが限定されていたり、使用できる燃料や設備に条件が設けられていたりすることがあります。
採用後に初めて火気使用が分かるとレイアウト変更につながるため、応募時点で確認しておくことが重要です。
飲食出店の営業許可関係は早めに確認する
イベント会場で食品を調理・販売する場合は、営業形態や開催地域などによって必要な許可・届出等が異なります。
そのため主催者側でも開催地の条件を確認し、出店者へ必要事項を案内します。
「各店舗に任せているから主催者は何も確認しない」という状態にすると、開催直前に営業条件を満たしていないことが判明する可能性があります。
イベント飲食の許可については、イベントで飲食物を販売するには?必要な許可・保健所への確認・出店準備を解説で詳しく紹介しています。
出店者説明会でルールを統一する
店舗ごとに個別説明をすると、伝える内容に差が出やすくなります。
規模が大きいイベントでは、出店者向けの説明資料を作り、必要に応じて説明会を行います。
説明する内容としては、
- 搬入方法
- 車両ルート
- 営業時間
- 販売開始・終了時間
- 電源
- 給排水
- ゴミ処理
- 火気ルール
- 売上報告
- 緊急時の連絡先
- 撤収方法
などがあります。
イベント当日に初めて知るルールを減らすことが、スムーズな飲食運営につながります。
搬入時間を店舗ごとに分けることも検討する
出店者が多いイベントでは、全店舗が同じ時間に搬入すると車両や搬入口が混雑します。
特にキッチンカー、冷蔵車、設備業者などが同時に入ると設営が進まないことがあります。
そこで出店エリアや車両種類ごとに搬入時間を分けます。
イベント飲食は商品販売だけではなく、設営・搬入・撤収まで含めて運営を考える必要があります。
当日は売上だけでなく販売速度も確認する
イベント当日に確認したいのは、各店舗の売上だけではありません。
どの店舗に何人並んでいるか、商品提供に何分かかっているか、売り切れが発生しているかなどを確認します。
例えばA店舗に30人並び、B店舗には誰も並んでいない場合、単純な店舗数は足りていても商品構成に偏りがあることが分かります。
複数日開催なら初日のデータを使って、翌日の仕込み量やスタッフ配置を調整できます。
人気店の行列を他店舗へ分散できるとは限らない
飲食エリア全体として販売能力が足りていても、特定の人気店に注文が集中することがあります。
「隣の店が空いているからそちらへ行くだろう」と考えても、来場者が特定商品を目的にしていれば行列は解消しません。
そこで人気が予想される店舗については、販売レーンを増やす、メニュー数を絞る、事前仕込みを増やすなど、店舗単位の対策が必要になります。
イベント公式フードと一般出店を組み合わせる方法もある
すべての飲食を一般出店者に任せる必要はありません。
例えばイベント公式フードだけ主催者側で企画し、食事商品はキッチンカーへ任せる方法があります。
IPイベントなら、キャラクターを使った限定ドリンクやデザートを公式ブースで販売し、通常の食事需要を外部店舗で補う構成もできます。
これによってイベント独自の商品を作りながら、飲食全体の供給能力も確保できます。
キッチンカー・テント・集中厨房など出店方式の違いについては、フェスのフード出店はどう作る?キッチンカー・テント・集中厨房の違いをご覧ください。
出店者管理を主催者だけで抱えない方法もある
飲食店舗が増えるほど、主催者側の管理業務も増えます。
募集、応募受付、選定、メニュー確認、書類回収、電源集計、レイアウト調整、搬入管理、当日対応まで行うと、飲食専任の担当者が必要になる場合があります。
イベント制作チームに飲食専門の担当者がいない場合は、出店者管理や飲食エリア全体の設計を外部へ委託する方法もあります。
特に大型イベントでは、出店者募集だけではなく、販売数、設備、電源、動線までまとめて管理できる体制があると調整しやすくなります。
イベント飲食出店の準備スケジュール
イベント規模によって期間は異なりますが、飲食出店の準備は次のように進めます。
- イベント概要・来場者数を確定する
- 必要な飲食供給量を算出する
- 出店形態と募集店舗数を決める
- 出店条件を作成する
- 募集・直接依頼を開始する
- 応募者のメニュー・販売能力を確認する
- 出店者を選定する
- 必要書類を回収する
- 設備・電源・給排水を集計する
- ブース配置を決める
- 搬入・当日ルールを共有する
- イベント当日の運営管理を行う
重要なのは、出店者が決まってから設備計画を始めるのではなく、募集時点から必要情報を集めることです。
イベント飲食出店でよくある失敗
店舗数だけを基準に募集する
出店数が多くても販売能力が低ければ行列は解消しません。1時間あたりの提供能力まで確認します。
同じジャンルの商品が集まる
応募順で採用するとメニューが重複しやすくなります。イベント全体の商品構成を見て選定します。
必要設備を採用後に確認する
電源や火気条件が会場と合わず、出店できなくなる可能性があります。
出店者との連絡方法がバラバラになる
個別メールやチャットだけで管理すると情報更新を追いにくくなります。管理表を一元化します。
来場者数だけ伝えて売上を期待させる
来場者数と飲食利用者数は同じではありません。想定飲食需要について現実的な情報を共有する方が、出店者との関係を作りやすくなります。
Team Cafe Tokyoのイベント飲食出店・フードエリア設計
Team Cafe Tokyoでは、イベント・フェス・IPイベントなどの飲食企画から、必要販売数の算出、フード出店構成、メニュー開発、厨房・設備設計、販売オペレーションまで対応しています。
単に店舗を集めるのではなく、想定来場者数と飲食需要から必要な供給能力を算出し、キッチンカー、飲食ブース、公式フードなどを組み合わせてイベント全体の飲食構成を設計します。
また、大型イベントでは出店者ごとの電源、設備、販売能力、商品構成などを整理し、会場条件に合わせたフードエリアの構築を検討します。
イベント全体の飲食企画については、イベントフードの企画方法|メニュー・販売数・出店方式・運営まで主催者向けに解説もご覧ください。
大型イベントの飲食企画・フードエリア運営については、Team Cafe Tokyoまでお気軽にご相談ください。
イベントの飲食出店は店舗募集ではなくフードエリアを設計する仕事
イベント飲食では、多くの店舗を集めることそのものが目的ではありません。
来場者に必要な飲食量を供給し、選べる楽しさを作りながら、各出店者にも売上機会を作ることが重要です。
そのためには、
来場者数 → 飲食需要 → 必要販売能力 → 出店数 → 商品構成 → 出店者選定
という順番で考えます。
この考え方を取り入れることで、「とりあえず出店者を集める」という募集から、イベント全体の飲食体験を設計する出店計画へ変えることができます。
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