イベント飲食の費用はいくら?フード運営に必要な予算・見積項目・料金の考え方を解説

イベント飲食の費用はいくら?
イベントやフェスで飲食を実施するとき、「フード運営にはどのくらいの費用がかかるのか」は主催者にとって重要な問題です。
飲食費用というと食材費やスタッフ人件費をイメージしやすいですが、大型イベントではそれだけではありません。
会場に厨房がなければ仮設厨房を作り、冷蔵庫やフライヤーなどの厨房機器を設置し、電源・給排水・作業台・販売ブースまで準備する必要があります。
さらにメニュー開発、試作、撮影、容器、消耗品、スタッフ、物流、決済なども必要になります。
そのためイベント飲食の予算は、「1食いくら」で考えるだけでは正確に把握できません。
商品を作る費用と、イベント会場に飲食販売の仕組みを作る費用を分けて考えることが重要です。
この記事では、イベント主催者・制作会社の方向けに、イベント飲食で発生する主な費用、見積項目、来場者規模によって費用が変わる理由、予算を組むときの考え方を解説します。
イベント飲食の費用は「商品原価+運営費+会場設備費」で考える
イベント飲食の費用は、大きく分けると次の3つがあります。
商品にかかる費用
食材、飲料、容器、包材など、販売数量に応じて増える費用です。
運営にかかる費用
スタッフ、物流、メニュー開発、管理、決済など、イベントを運営するために必要な費用です。
会場に飲食環境を作る費用
仮設厨房、厨房機器、電源、給排水、テント、販売カウンターなどです。
この3つを分けて考えると、イベント飲食の見積が理解しやすくなります。
イベント飲食の主な見積項目
実際の見積項目はイベント内容によって変わりますが、代表的なものは次の通りです。
| 項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 企画・設計 | 飲食企画、販売計画、運営設計 |
| メニュー開発 | 商品企画、試作、レシピ設計 |
| 食材・飲料 | 販売商品に使用する原材料 |
| 容器・消耗品 | カップ、容器、蓋、カトラリー、手袋など |
| 厨房設備 | 冷蔵庫、冷凍庫、フライヤー、スチコンなど |
| 仮設厨房 | 作業スペース、手洗い、シンク、床など |
| 電源 | 分電盤、電源工事、発電機など |
| 給排水 | 給水・排水設備、タンク、配管など |
| スタッフ | 調理、盛付、販売、会計、補充、管理 |
| 物流 | 食材・機材・資材の搬入搬出 |
| 販売設備 | テント、カウンター、レジ、サインなど |
| 決済 | 決済端末、キャッシュレス手数料など |
| 運営管理 | 現場責任者、出店者管理、進行管理 |
イベントによっては、このほかに商品撮影、デザイン、オリジナル容器、OEM製造などが発生します。
食材費は販売予定数から計算する
食材費はイベント飲食の中でも分かりやすい費用です。
基本的には、
1商品あたり原価 × 販売予定数
で計算できます。
例えば1商品あたりの食材原価が350円で、3,000食準備する場合、
350円 × 3,000食 = 1,050,000円
です。
ただし実際には、販売予定数ぴったりではなく、安全在庫や調理ロスなども考えます。
商品ごとの必要数量を先に算出しておくことで、食材費の予算も作りやすくなります。
販売数量の算出については、大型イベントで必要な飲食販売数の計算方法|来場者数から発注数・安全在庫まで予測する方法で詳しく解説しています。
原価率だけで食材予算を決めない
飲食店では「原価率30%」などを一つの基準として使うことがあります。
しかしイベントでは、通常店舗と同じ原価率だけで判断すると実態が見えにくくなります。
例えば販売価格1,000円、食材原価300円なら食材原価率は30%です。
しかしイベントでは、その300円以外に容器、人件費、設備、物流、決済手数料などが発生します。
そのためイベントフードでは、食材原価率だけではなく、商品を販売するまでにかかる総コストを見る必要があります。
容器・消耗品も販売数に比例して増える
イベントでは食器を返却する方式より、使い捨て容器を使用するケースが多くあります。
フード容器、カップ、蓋、ストロー、カトラリー、紙ナプキンなどです。
例えば容器と付属品を合わせて1商品100円かかり、5,000点販売するなら、
100円 × 5,000点 = 500,000円
になります。
1個単位では小さな金額でも、販売数が数千点、数万点になると大きな費用になります。
特にオリジナル印刷のカップやパッケージを作る場合は、既製品より単価が上がったり、最低製造ロットが設定されたりするため注意が必要です。
メニュー開発費は料理を考えるだけの費用ではない
イベント専用の商品を作る場合は、メニュー開発費が発生することがあります。
メニュー開発では料理のアイデアを考えるだけではなく、
- コンセプト設計
- 試作
- 原価計算
- レシピ作成
- 提供時間の検証
- 大量調理への調整
- 使用設備の確認
- 容器との相性確認
などを行います。
特にIPイベントや企業イベントでは、監修対応やデザイン確認などの工程が追加されることがあります。
大型イベント向けの商品開発については、大型イベントで大量提供できるフードメニューの作り方|提供速度・原価・厨房設備から考えるも参考にしてください。
商品撮影やメニューデザインも予算に入れる
イベント専用メニューを販売する場合、商品写真が必要になることがあります。
公式サイト、SNS、会場メニュー、サイネージなどに使用するためです。
その場合は料理撮影だけでなく、フードスタイリング、デザイン、画像加工などの費用が発生することがあります。
IPイベントでは監修期間も必要になるため、単純な制作費だけではなくスケジュールも含めて考えます。
会場に厨房がなければ仮設厨房費が発生する
イベント飲食の予算が大きく変わるポイントの一つが、会場に厨房設備があるかどうかです。
飲食店やホテルなど既存厨房を利用できる場合は、必要設備を流用できることがあります。
一方、展示場、屋外会場、イベントホールなどでは、厨房そのものがない場合があります。
その場合はイベント用の仮設厨房を作ります。
必要になる可能性がある設備として、
- 冷蔵庫
- 冷凍庫
- 製氷機
- フライヤー
- スチームコンベクションオーブン
- IH調理器
- 作業台
- シンク
- 手洗い設備
- 給排水設備
などがあります。
仮設厨房については、大型イベントの仮設厨房に必要な設備とは?電源・給排水・厨房機器の設計方法で詳しく解説しています。
厨房機器はメニューによって必要台数が変わる
同じ来場者数でも、販売するメニューによって厨房費用は変わります。
例えば事前調理済みの商品を温めて盛り付けるだけなら、比較的シンプルな設備で対応できる場合があります。
一方、揚げ物を大量販売するなら複数のフライヤーが必要になり、冷凍食材が多ければ冷凍庫の容量も増えます。
厨房設備は「何台置けば安心か」ではなく、
販売予定数 ÷ 機器1台あたりの処理能力
から考えます。
メニューを決めることは、設備費を決めることでもあります。
電源費用は厨房機器の合計容量から決まる
大型イベントでは厨房機器を動かすための電源も必要です。
冷蔵庫、冷凍庫、製氷機、IH、スチコンなどを複数使用すると、必要な電源容量は大きくなります。
会場既設電源で足りなければ、仮設電源や分電盤、電気工事などが必要になる場合があります。
商品を増やした結果、厨房機器が増え、さらに電源工事費まで増えることもあります。
そのため設備費と電源費は別々ではなく連動して考えます。
必要電源の算出方法については、大型イベントの飲食で必要な電源容量の計算方法|厨房機器・仮設電源の考え方をご覧ください。
給排水設備も見落としやすい費用
厨房を作る場合は、電源だけでなく水も必要です。
会場に給排水設備が近ければ比較的対応しやすいですが、飲食エリアから離れている場合は配管やタンクなどが必要になることがあります。
仮設厨房では、厨房機器だけを見積もって給排水を後から追加すると、予算が大きく変わることがあります。
会場下見の段階で、電源と給排水の位置を確認しておくことが重要です。
スタッフ人件費は人数×勤務時間だけでは決まらない
イベント飲食では、複数の役割が必要になります。
例えば、
- 会計
- 調理
- 加熱
- 盛り付け
- ドリンク
- 商品受け渡し
- 商品補充
- バックヤード
- 現場責任者
などです。
単純に「10レーンだから10人」という計算ではありません。
イベント規模が大きくなるほど役割を分業する必要があり、管理者やリーダーも必要になります。
必要人数については、大型イベント飲食で必要なスタッフ人数の計算方法|ピーク時の適正人員配置とはで詳しく解説しています。
人件費は設営・撤収時間も含めて考える
イベントスタッフの勤務時間は、イベント営業時間だけではありません。
営業開始前には食材搬入、厨房準備、仕込み、レジ準備などがあります。
終了後には片付け、清掃、在庫確認、撤収なども必要です。
例えばイベント営業時間が7時間でも、スタッフの拘束時間が10時間になることがあります。
人件費を計算するときは、営業時間ではなく実際の拘束時間を基準にします。
スタッフを増やせば販売数が増えるとは限らない
混雑対策としてスタッフ人数を増やしても、厨房機器や販売レーンが足りなければ販売能力は上がりません。
例えば1台のフライヤーが1時間100食しか処理できない場合、スタッフを2人から4人に増やしても最大調理数は100食のままです。
人件費を有効に使うためには、スタッフ数と厨房・販売能力を合わせる必要があります。
販売レーン数が増えると必要設備も増える
大型イベントでは販売レーンを増やすほど、カウンター、POS、決済端末、スタッフなども増えます。
そのため行列対策として単純にレーン数を増やすと、運営費も上がります。
必要なレーン数は、ピーク販売数と1レーンあたりの処理能力から計算します。
詳しくは、大型イベントで必要な飲食レーン数の計算方法|販売数・提供時間から適正レーン数を算出をご覧ください。
物流費はイベント規模が大きくなるほど重要になる
大量の食材、飲料、厨房機器、容器などをイベント会場へ運ぶためには物流が必要です。
冷蔵・冷凍商品を扱う場合は、温度管理できる車両が必要になることもあります。
また大型会場では搬入口から厨房まで距離があり、台車や場内運搬スタッフが必要になるケースもあります。
単純な配送費だけではなく、
倉庫 → 会場 → バックヤード → 売場
まで商品がどう移動するかを確認します。
複数日開催では保管費も考える
2日、3日と続くイベントでは、毎日すべての食材や資材を持ち帰るとは限りません。
会場内に冷蔵・冷凍保管できるスペースが必要になることがあります。
保管場所がなければ、外部倉庫や冷蔵車などを利用する方法もあります。
複数日開催では販売日の費用だけでなく、夜間の在庫保管方法まで予算に含めます。
キャッシュレス決済には手数料がかかる
イベントではキャッシュレス決済を導入するケースが増えています。
決済手数料は1件あたりでは小さく見えますが、売上規模が大きくなると無視できません。
例えば総売上1,000万円のうち80%がキャッシュレスで、決済手数料率を3.25%とすると、
10,000,000円 × 80% × 3.25% = 260,000円
です。
売上予算を作るときは、決済手数料も変動費として計算します。
出店型と運営受託型では予算構造が違う
イベント飲食には、複数の実施方法があります。
キッチンカーや飲食店を募集して出店してもらう方法であれば、各店舗が自分の設備・食材・スタッフを用意する形を取りやすくなります。
一方、イベント公式フードを一括して企画・運営する場合は、主催者側または運営会社側で厨房・設備・人員・商品をまとめて用意する必要があります。
つまり、同じ来場者10,000人のイベントでも、出店方式によって主催者側の予算構造は大きく変わります。
キッチンカー、テント、集中厨房の違いについては、フェスのフード出店はどう作る?キッチンカー・テント・集中厨房の違いで解説しています。
イベント飲食の契約方式によって費用の見え方も変わる
飲食運営会社へ依頼する場合も、契約方式は一つではありません。
例えば、
- 企画・制作費を固定で支払う
- 実費+管理費で精算する
- 売上に対する歩率を設定する
- 固定費と売上歩率を組み合わせる
- 出店者から出店料を徴収する
などがあります。
どの方式が適しているかは、誰が食材在庫のリスクを負うのか、設備費を負担するのか、売上を誰が受け取るのかによって変わります。
見積金額だけを比較するのではなく、費用負担と売上・在庫リスクがどちら側にあるのかまで確認することが重要です。
売上歩率だけを比較すると判断を間違えることがある
例えば「売上の15%」という条件だけを見ても、それが高いか安いかは判断できません。
食材費、人件費、厨房設備、電源、消耗品を誰が負担するかによって収支が変わるからです。
売上歩率が低くても主催者側が多くの実費を負担する契約もあれば、歩率の中に一定の運営コストが含まれる契約もあります。
比較するときは、最終的にイベント全体で誰が何円負担するのかまで試算します。
イベント飲食の予算は来場者数だけでは決まらない
「5,000人のイベントならいくら」「10,000人ならいくら」と一律に決めることは難しいです。
同じ10,000人でも、条件によって必要予算は大きく変わります。
| 条件 | 費用への影響 |
|---|---|
| 既存厨房あり | 設備費を抑えやすい |
| 厨房なし | 仮設厨房・電源・給排水が必要 |
| 既製品中心 | 調理設備を減らしやすい |
| 現地調理が多い | 厨房・人員が増えやすい |
| 一般出店中心 | 出店者側で設備を持つ場合がある |
| 公式フード一括運営 | 主催側の設計範囲が広くなる |
| 既製容器 | 比較的調達しやすい |
| オリジナル容器 | 製造費・ロット・納期が発生 |
そのためイベント飲食の見積を依頼するときは、来場者数だけでなく実施条件まで伝える必要があります。
予算が限られている場合は何を削るべきか
イベント飲食の予算が想定を超えた場合、単純にスタッフ人数や食材量を減らすと販売能力そのものが不足する可能性があります。
まず見直したいのは、複雑さを生んでいる部分です。
例えば、
- SKUを減らす
- 調理工程を簡略化する
- 共通食材を増やす
- 共通容器を使用する
- オリジナル資材を限定商品だけにする
- 厨房機器を共用できるメニューへ変更する
- 販売レーンを効率化する
などがあります。
イベント飲食では、商品数や工程を整理することで、食材費だけでなく設備・電源・人員まで同時に削減できることがあります。
安い見積が最終的に安いとは限らない
イベント飲食では、初期見積だけで委託先を比較すると注意が必要です。
例えば厨房設備が見積に入っていない、電源工事が別途、スタッフ追加費が別途、物流費が含まれていないなど、見積範囲が会社によって違うことがあります。
そのため金額だけではなく、
- 何が含まれているか
- 何が別途なのか
- 誰が設備を用意するのか
- 追加費用が発生する条件
- 売上・在庫リスクを誰が負うのか
を比較します。
イベント飲食会社を選ぶ際の確認項目については、大型イベントの飲食運営会社の選び方|主催者が確認すべき8つのポイントも参考にしてください。
見積依頼前に準備しておく情報
イベント飲食の見積精度を高めるには、依頼時点でできるだけ条件を整理しておきます。
最低限あるとよい情報は次の通りです。
- 開催日時
- 開催場所
- 想定来場者数
- 開催時間
- 飲食利用者の想定
- 販売したい商品
- 想定商品数
- 販売価格帯
- 会場厨房の有無
- 電源・給排水条件
- 出店形式
- 主催者側で用意できる設備
- 希望する委託範囲
まだメニューが決まっていなくても、来場者数と会場条件が分かれば初期設計を進められる場合があります。
見積は「総額」だけでなく1販売あたりでも確認する
大型イベントでは金額が大きくなるため、総額だけを見ると費用の妥当性を判断しにくくなります。
そこで、
総運営コスト ÷ 想定販売点数
も確認します。
例えば飲食運営全体に300万円かかり、10,000点販売する場合、1点あたりの運営コストは300円です。
3,000,000円 ÷ 10,000点 = 300円/点
この数字に食材原価や販売価格を組み合わせることで、商品1点を販売したときにどの程度利益が残るのかを把握しやすくなります。
イベント飲食は売上予測と費用をセットで考える
飲食予算だけを見ても、そのイベントが採算に合うかは分かりません。
必要なのは、
想定売上 − 食材 − 人件費 − 設備 − 消耗品 − 物流 − 決済費 − その他運営費
という形でイベント全体の収支を見ることです。
例えば設備費が高くても販売数量が十分に多ければ、1点あたりの設備負担は小さくなります。
反対に小規模イベントで大規模な仮設厨房を作れば、1点あたりの固定費が高くなります。
イベント飲食では、費用を削ることだけではなく、販売数量とのバランスを考えることが重要です。
Team Cafe Tokyoのイベント飲食見積・収支設計
Team Cafe Tokyoでは、大型イベント・フェス・IPイベントなどについて、メニュー開発だけでなく、販売数量、厨房設備、人員、販売レーン、電源、原価まで含めた飲食設計を行っています。
想定来場者数から飲食利用者数と販売点数を予測し、その数量を処理するために必要な厨房・設備・スタッフを算出することで、イベント飲食に必要な予算を組み立てます。
また、食材原価だけでなく、人件費、消耗品、設備、決済手数料などを含め、想定売上に対してどの程度の収益が見込めるかを確認しながら企画を進めることも可能です。
イベントフード全体の企画方法については、イベントフードの企画方法|メニュー・販売数・出店方式・運営まで主催者向けに解説もご覧ください。
大型イベントの飲食企画・予算設計・運営については、Team Cafe Tokyoまでお気軽にご相談ください。
イベント飲食の費用は見積を取る前の設計で大きく変わる
イベント飲食の予算を考えるとき、最初から「いくらかかるか」だけを確認しても正確な金額は出しにくいものです。
必要な費用は、販売数量、商品構成、厨房設備、スタッフ数、販売方法によって変わるからです。
そのため、
来場者数 → 販売数 → メニュー → 提供能力 → 厨房設備 → 人員 → 費用
という順番で考えます。
この設計を先に行うことで、必要なところには予算を使い、不要な設備や人員を減らしやすくなります。
イベント飲食では「安く作ること」より、必要な販売能力を確保した上で、1販売あたりのコストを最適化することが重要です。
合わせて読みたい→イベントフードの企画方法|メニュー・販売数・出店方式・運営まで主催者向けに解説
大型イベントで必要な飲食販売数の計算方法
大型イベント飲食で必要なスタッフ人数の計算方法
大型イベントの仮設厨房に必要な設備とは?
大型イベントの飲食運営会社の選び方|主催者が確認すべき8つのポイント



