フェアトレード コーヒーの歴史・年表

摘みたてのコーヒー豆

フェアトレードとコーヒー

 

第二次世界大戦前の欧米諸国による植民地統治時代のコーヒー産業では、生産地のコーヒープランテーションでは過酷な搾取が行われていました。

 

大戦後においても生産者に重圧がかかる状態が続いてきましたが、1960年代から徐々にフェアトレード運動が展開され、現在では数千ものフェアトレード市場「第三世界」ショップが世界中に開かれており、国際経済の大きなうねりになっています。

 

その商品がフェアトレードであると分かる国際フェアトレード認証ラベルについては、日本では現在約40団体で300以上の商品が認証されています。

 

フェアトレード 沿革/概要

コーヒー 

「フェアトレード(英:Fair trade)」とは、直訳すると「公正な取引」の意味です。

 

一般的には生産者(輸出元)である発展途上国と消費者(輸入元)である先進国およびグローバル企業との間の貿易に対して使われている言葉であり、NGOなどが主導し、現在では欧米を中心に世界各国で取り組まれている運動のことを指します。

 

「フェアトレード(公正な取引)」は国際的な貧困対策や環境保護を目的としています。

 

歴史的に植民地支配を受けてきたアフリカや中南米諸国などの発展途上国は、貿易において絶えず変化する生産物の需要バランスや市場価格の変動などにより弱い立場を強いられています。

 

生産者にとって不当に安い価格設定による不安定な状態、低賃金による現地労働者の貧困、長時間労働や児童労働の問題、市場価格の暴落による大量の失業者の発生、先進国およびグローバル企業による大量生産を求めての無理な乱開発により生じる生産地の環境破壊、それらを防ぐ事を目指している運動が「フェアトレード」です。

 

従来の国際貿易の輸入元である先進国やグローバル企業に有利な慣習や恣意的な規則、その実態を変化させるための運動であり、先進国やグローバル企業がコーヒーや紅茶、カカオ(チョコレート)などの作物や生産物、それらからなる製品などを実際的な貿易において適正な価格で継続的に購入することにより、生産者側である発展途上国との関係性を公平にし、より良い取引状況を提供する事から経済的な格差が大きい途上国の生産者/労働者の労働状況や生活の改善、福祉の向上、権利や知識、技術の向上による生産国の自律的な独立を支援するなど、地域への貢献および発展に取り組む国際経済の自発的な試みであると言えます。

 

私たちにとっては自分たちの気に入ったフェアトレード商品を購入することによって生産者側の地域に貢献をする事が可能になる、人道的な国際協力を身近にしたシステムです。

 

歴史/経緯など

フェアトレードシール

1)1940年代~1970年代前半

フェアトレード(公正な取引)へと至る国際貿易の動きについては、その初期は慈善活動(慈善貿易/チャリティ・トレード(Charity Trade))としての色彩が濃いものでしたが、1960年代には次第に連帯活動としてのフェアトレード(連帯貿易(Solidarity Trade))や開発志向のフェアトレード(開発貿易(Development Trade))へと発展していきました。

 

フェアトレード運動は、1946年にアメリカのメノナイト中央委員会(MCC)というキリスト教系NGOの理事長夫人であったエドナ・ルース・バイラー(Edna Ruth Byler)が当時貧困地域であったプエルトリコで作られた針編みレースなどの刺繍製品やクラフトを買い取り、オハイオ州アクトンにあるメノナイト中央委員会本部の周りの友人や親戚にチャリティバザーの形で販売し、その利益を地域に還元した非営利事業が基になって始まったと言われています。

 

この事業は1967年に「セルフヘルプ・クラフト(後に1976年に「テン・サウザンド・ビレッジ」と改称)」という生産者の自立を支援する貿易活動を行う組織となりました。

 

当時、フェアトレードという言葉はまだ使われておらず、慈善事業では無く生産者の自立を支援するこの貿易活動は、従来の貿易とは異なる別の貿易、オルタナティブな市場(もう一つの市場)の形成と公平な分配を目指した事から「オルタナティブ・トレード(Alternative Trade)」と呼ばれました。

 

1940年代から1970年代前半にかけてのフェアトレード運動への流れについては、上述の他には以下のようなものが挙げられます。

 

・1942年、英国のオックスフォードで「貧困を生み出す不公正」を無くすために国際協力団体「Oxfam(オックスファム)」が設立されました。1948年にオックスフォード地域でオックスファムの初めてのチャリティーショップを開き、1950年代後半には支援先の発展途上国産品を販売するオックスファム・ショップを全国に展開、1964年にはフェアトレード専門の「Oxfam Trading(オックスファム・トレーディング)」を設立しました。

 

・1949年、アメリカのブレザン教会が主導して「SERRV」という団体が組織されました。この団体は第二次世界大戦後に難民化したドイツ人が作った木製の鳩時計を輸入し販売しました。

 

・1959年、オランダで「SOS(発展途上国地域支援財団)」が設立。1967年にハイチのスラム居住者等が作った木彫品を購入し、フェアトレード市場(第三世界ショップ)での販売を始めました。

 

・1967年、オランダの「第三世界グループ(Third World Group)」が「第三世界ショップ」というショップを開き途上国の黒糖や手工芸品などの販売を始めました。「黒糖を買うことで貧しい国の人々を豊かに出来る」と市民に訴えかけたという第三世界グループは「新帝国主義」や「新植民地主義」への対抗を掲げており、このような活動は欧州各地に広がり次第に組織化されATO(Alternative Trade Organization)と呼ばれる団体が数多く設立されることとなりました。このATOの活動は1970年代に全盛期を迎え、1980年代まで続く「オルタナティブ・トレード」の潮流を形成しました。

 

・1974年、日本の国際協力NGO「シャプラニール=市民による海外協力の会」がバングラディシュの首都ダッカに事務所を設立し、ジュート手工芸品生産組合の活動を開始、生産された手工芸品の日本での販売を始めました。

 

・1975年、ドイツでフェアトレード団体「ゲパ(Gepa The Fair Trade Company)」が「第三世界行動」という反ODA・連帯貿易グループとSOS財団により設立、発展途上国の生産者のサポートを開始しました。

 

2)1970年代後半~現在
1970年代の後半には「北」の消費者と「南」の生産者との間のより平等な取引を創出しようとする一般市場の変革を目指したオルタナティブ・トレードを発展・拡大した動きが始まり、その流れは日本にも及びました。

 

・1979年、イギリスのスコットランドで「Equal Exchange UK(イコール・エクスチェンジUK)」が設立、公正な貿易条件を求める活動を始めました。

 

・同年(1979年)、イギリスで「Trade Craft(トレード・クラフト)」が設立、オルタナティブな市場というよりも従来の市場そのものの変革をコンセプトに掲げ、生産者の自立支援だけではなく一般企業にもフェアトレードを取り入れさせる事を目指しました。

 

・1985年、 イギリスで「TWIN(Third World Information Network/第三世界情報ネットワーク)」がロンドン市議会にて設立されました。その代表であったMichael Barratt Brown(マイケル・バラット・ブラウン) 氏が「フェアトレード」という言葉を生協関係者の会議で最初に使用し、それまで一般的であった「オルタナティブ・トレード」という呼称が「フェアトレード」へと変わり、急速に広まったといいます。

 

・1986年、アメリカで「Equal Exchange(イコール・エクスチェンジ(イギリスとは別組織))が設立されました。

 

当時、サンディニスタ民族解放戦線による政権により社会主義路線を歩み始めていたニカラグアに対しアメリカ政府は1985年より経済制裁を実施していましたが、同団体はそういった他国への政治介入に異を唱えるアメリカのニューイングランド地方の生協活動家達が立ち上げました。

 

アメリカの経済制裁に窮するニカラグアの左派政権下で進む農地改革や農協運動を支援するためにニカラグアのコーヒーの輸入を始めたのです。

 

アメリカ政府は阻止を図りましたが、オランダのフェアトレード団体の協力のもと「原産地がニカラグアでも、オランダで焙煎されたコーヒーはオランダ産」というオランダの法律を用いて「Equal Exchange」は間接的に輸入を続け、ニカラグアを支援しました。

 

・1987年、「EFTA(European Fair Trade Association/欧州フェアトレード協会)」が設立されました。11のフェアトレード輸入業者から構成され、フェアトレード団体の連合の先駆けとなりました。

 

・1989年、「IFAT(International Federation for Alternative Trade/国際オルタナティブ・トレード連盟(2003年に国際フェアトレード連盟(IFAT;International Fair Trade Association)、2009年に世界フェアトレード機構(World Fairtrade Organization)と改称))」が設立されました。

 

フェアトレードを基準化する本格的な国際協会として機能していき、世界61カ国の270のフェアトレード団体が所属しました。

 

・同年(1989年)、オランダで「Max Havelaar」という世界最初のフェアトレード・ラベルが誕生しました。そのアイデアと市場での成功により、後に欧米で次々とフェアトレード・ラベル団体(「TransFair Germany」、「Fairtrade Foundation」、「Max Havelaar Switzerland」、「Max Havelaar France」、「Fairtrade TrasFair Italy」、「TransFair USA」など、現在21カ国に設立されているフェアトレード・ラベル団体)が設立される契機となりました。

「Max Havelaar」という名前は、オランダの植民地であったインドネシアで貧しいコーヒー生産者側に立って闘った架空の植民地政府官僚、Max Havelaarを主人公にした小説から取られました。

 

・1991年、イギリスで「Cafédirect(カフェダイレクト/「CAFEDIRECT」とも)とも」が起業されました。TWIN、オックスファム、トレード・クラフト、イコール・エクスチェンジUKの4団体が共同で設立したフェアトレード・コーヒー専門の株式会社です。

 

一般市場の中での活動で、従来型の企業に近い環境の中でのフェアトレードの原則を実践することを目指しました。その戦略は市場・消費者と品質を強く意識したもので、フェアトレードを前面には押し出さず、品質で消費者の支持を得ようとするビジネス志向のものでした。

 

・1994年、「NEWS!(Network of European Worldshops/欧州・ワールドショップ・ネットワーク)」が設立されました。イギリス、イタリア、オーストリア、オランダ、スイス、スウェーデン、スペイン、ドイツ、デンマーク、フィンランド、フランス、ベルギー、ポルトガルの13カ国にある15の世界ショップ協会から構成されるネットワークで、加盟するワールドショップの数は2,500店にのぼります。

 

・1997年、「Fairtrade Labelling Organizations International(国際フェアトレード・ラベル機構;略称 FLO 又は FLO-I)」が創設されました。当時、世界各国のフェアトレード・ラベル団体は各団体で独自の基準を設けて活動をしていましたが、その基準を統一するために国際組織として設立されました。

 

現在、25カ国25団体のフェアトレード認証団体、3カ国3団体のフェアトレード生産者団体、9カ国9団体のフェアトレード推進団体から組織されています。

 

・同年(1997年)、イギリスで「デイ・チョコレート(Day Chocolate/現在のディヴァイン・チョコレート(Divine Chocolate))」が設立されました。同社はTWINとガーナのカカオ生産者が共同出資するフェアトレード企業です。

 

・1998年、「FINE」が設立されました。FLO、IFAT、NEWS!、EFTAの4団体から成り、それぞれの頭文字から「FINE」と名付けられた非公式な国際的フェアトレード・ネットワークです。

 

・1999年、フランスで「Alter Eco( アルテルエコ)」が設立されました。同社はパリの大手スーパー「Monoprix(モノプリ)」と提携してフェアトレード食品を販売するフェアトレード企業です。

 

・2000年、スターバックスがFLOのラベル付フェアトレード・コーヒーの販売を開始しました。

 

・2002年、日本のNPO「アジア太平洋資料センター(PARC)」が東ティモールのコーヒー生産者支援を開始、フェアトレードコーヒー“カフェ・ティモールの販売を始めました(2008年以降は、PARCの組織改編に伴いPARICIC(PARC Interpeoples’Cooperation)として独立して事業をおこなっています)。

 

・2003年、IFATが「国際フェアトレード連盟(IFAT;International Fair Trade Association)」へと改称しました。世界65カ国の293団体が加盟しました。

 

・2003年、イギリス生協がフェアトレードを支援、コーヒーをFLOのラベル付フェアトレード・コーヒーに全面切り替えしました。

 

・2004年、FLOから分離して「FLO-CERT(フェアトレード認証株式会社)」が設立されました。FLOのフェアトレード基準の認証を行う独立した機関です。

 

・同年(2004年)、大手スーパーのイオンがFLOのラベル付フェアトレード・コーヒーの販売を開始しました。

 

・2005年、大手企業のネスレがイギリスでフェアトレードのインスタントコーヒーを取り扱い始めました。

 

・2007年、日本の「すき家」で東ティモールのフェアトレード・コーヒーの販売を開始しました。

 

・2009年、IFATが「World Fairtrade Organization(世界フェアトレード機構)」へと転換しました。

 

・2018年現在では、70カ国、370団体が加盟しています。

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