イギリスでよくある紅茶論争!紅茶が先?ミルクが先?そんな紅茶論争本当のところ!
紅茶論争勃発
ティーカップへ注ぐ際、紅茶を先にするのか、それともミルクを先にするのか?
これは、紅茶好きの間ではよく知られたイギリスの論争です。
議論好きのイギリス人のことですから、議論自体を楽しんでいるという面が強いのですが、調べてみるとなかなか興味深くあります。
紅茶が先派とミルクが先派の言い分
ミルク派
まず、ミルクを先に入れるよ、という立場を”MIF”(Milk in First )といいます。
この立場からは、ミルクを先に注ぐことで紅茶とよく混ざり、香りが引き立つと主張されます。
また、熱い紅茶を後に注ぐことでカップが割れるのを防いだり、カップに茶渋が付くのを避けられるという根拠も挙げられます。
紅茶派
それに対して、紅茶を先に入れるよ、という立場は”MIA”(Milk in after )といいます。
この立場によれば、ミルクティーにしたい人だけが後からミルクを注げばいいし、ミルクの量も調整できると主張されます。
結局のところどっち?
どちらも一理ある、と言いたいところですが、2003年の6月24日に英国の王立化学協会が出した正式プレリリース、『How to make a Perfect Cup of Tea』(一杯の完璧な紅茶を淹れる方法)によると、「ミルクが先」というのが結論のようです。
その理由は、先にミルクをカップへ注いだ方が、たんぱく質の熱変性が少ないために、よく混ざるからです。
ミルクとは、カフェラテに使用するミルクの温度も62度程度と言われるように熱による変化・味わいの変化が難しいものなのですね。
……と、このように「英国の王立化学協会が130年にわたる議論に決着をつけた」との話がまことしやかに語られているのですが、ここでちょっと立ち止まってみなければなりません。
先に述べたように、イギリス人は議論好きです。しかし、それと同じくらいジョーク好きでもあるのです。
そう、このプレスリリースは、イギリス人一流のジョークなのです。
考えてもみてください。ミルクを先に注ぐとすると、どうなるでしょうか?
あくまでもミルクティーとは、紅茶の分量に対してどれくらいのミルクを注ぐのか、というもののはずです。
先にミルクを注いでしまっては、適度な配分のミルクティーを淹れることなどできないでしょう。
実際、イギリス人にしても、それを承知の上で敢えてディベートを楽しんでいる節があります。
お客様にミルクティーを出そうという場合も、先にミルクを注いでしまっては相手の好みに合わせられませんよね。
おもてなしの心からも、残念ながらMIF派は不利だと言わざるを得ません。
そんなわけで、ミルクと紅茶のどちらを先にカップへ注ぐか? という論争は、未だ完全に決着したとはいえないのです。
ミルクティーには一言あるぞ、という方は、ぜひいろいろと考えてみてはいかがでしょうか。