大型イベントの飲食ブース設計|会計・厨房・受け渡しの動線をどう作る?

飲食ブース 大型イベント

大型イベントの飲食ブース設計

大型イベントの飲食エリアでは、厨房設備やスタッフを十分に用意したのに、行列が伸び続けることがあります。

原因を確認すると、調理能力ではなく「人と商品の流れ」が詰まっているケースがあります。

会計を終えたお客様と、これから注文するお客様が同じ場所に集まる。商品を補充するスタッフが来場者の列を横切る。厨房では商品が完成しているのに、販売側へ運ぶスペースがない。一部の人気商品だけ受け渡しに時間がかかり、そのレーンだけ行列が伸びる。

こうした状態になると、スタッフやレジを増やすだけではなかなか改善しません。

大型イベントの飲食ブースは、会計、厨房、待機列、商品供給、受け渡し、退場までを一つの流れとして設計する必要があります。

この記事では、数千人から1万人以上が来場する大型イベントを想定して、飲食ブースの動線をどのように考えるのかを解説します。

大型イベントの飲食ブースは販売数から設計する

最初から会場図面にレジや厨房を書き込むのではなく、先にその飲食エリアで何点販売するのかを想定します。

例えば来場者10,000人のイベントで、30%が飲食を利用し、1人平均2点購入するとします。

この場合、想定販売数は6,000点です。

7時間営業なら単純平均で1時間あたり約857点。ただし、実際のイベントでは毎時間857点ずつ均等に売れるわけではありません。

開場後、昼前後、ステージ終了後など、短時間に注文が集中する時間があります。

そのためブース設計では、1日の販売数だけではなく、ピークの1時間に何点処理する必要があるのかまで想定します。

この数字が決まると、必要なレジ数、販売レーン数、厨房能力、スタッフ数が見えてきます。

販売数量の考え方については、大型イベントで必要な飲食販売数の計算方法で詳しく解説しています。

飲食ブースは「お客様」と「商品」の2つの動線で考える

大型イベントの飲食ブースを設計するときは、「お客様の動線」と「商品の動線」を分けて考えます。

お客様の動線

入口 → メニュー確認 → 注文・会計 → 待機 → 商品受け取り → 退場

商品の動線

ストック → 厨房 → 調理 → 盛り付け → 販売側へ供給 → 受け渡し

問題が起こりやすいのは、この2つが交差する場所です。

例えば厨房から完成商品を運ぶスタッフが、商品を待っているお客様の列を横切る。バックヤードからカップや容器を補充するスタッフが会計列を通る。

通常時は問題なく動けても、ピークになると一気に詰まります。

お客様は前へ進む。商品は後ろから供給する。

この関係をつくると、ブース全体の動線を整理しやすくなります。

会計前にメニューを決めてもらう

会計速度を上げたいとき、最初に考えがちなのがレジの増設です。

ただ、レジを増やす前に改善できることがあります。

会計カウンターに来てからメニューを見始めるお客様が多ければ、1件あたりの会計時間が長くなります。

そこで待機列から見える場所に、商品名、商品画像、価格、売り切れ情報、購入方法などを表示します。

お客様がレジへ到達する前に注文をある程度決められる状態をつくります。

例えば会計時間が平均60秒から45秒になれば、同じレジ台数でも理論上の処理能力は約1.33倍になります。

大型イベントでは、この15秒の差が数百件、数千件の会計になると大きな差になります。

会計と商品受け渡しを分ける

イベント規模が小さければ、注文、会計、商品受け渡しを同じカウンターで行う方法でも運営できます。

しかし販売点数が増えてくると、会計と商品の準備時間が互いに影響し始めます。

一つの商品に時間がかかるだけで、その後ろの会計まで止まるためです。

そこで大型イベントでは、次のように工程を分ける方法があります。

注文・会計 → 商品情報を受け渡す → 商品別レーン → 商品受け取り

先に会計を済ませることで、決済と商品提供を別々に処理できます。

ただし、分ければ必ず速くなるわけではありません。

会計後にどこへ行けばいいのか分からない。複数商品を購入したお客様が複数レーンを回る。一部の商品だけ受け渡しが遅れる。

こうなると、今度は会計後に人が溜まります。

先会計方式を採用するなら、会計後のお客様をどこへ流すかまでセットで設計します。

販売レーンは販売数から逆算する

大型イベントで行列ができると、「販売レーンを増やそう」という話になりがちです。

ただし、レーンは多ければ多いほどいいわけではありません。

例えば1レーンで平均60秒に1点提供できる場合、理論上は1時間60点です。

10レーンなら600点、20レーンなら1,200点です。

ここだけを見ると、レーンを倍にすれば販売能力も倍になります。

ところが厨房が1時間800点しか供給できなければ、20レーンを用意しても最大能力を使えません。

反対に厨房で1時間1,500点つくれても、販売側が600点しか処理できなければ、完成商品が販売カウンター裏に溜まります。

必要なレーン数の計算については、大型イベントで必要な飲食レーン数の計算方法で詳しく解説しています。

商品別レーンは販売比率で決める

商品ごとに受け渡しレーンを分ける場合もあります。

このとき「10商品だから各商品2レーン」のように均等配分すると、実際の販売状況と合わなくなることがあります。

例えば販売構成が、商品A 30%、商品B 20%、商品C 15%、その他35%なのであれば、商品Aと商品Bにより多くの処理能力が必要になります。

特にIPイベントでは、キャラクター人気、SNSでの話題、限定感などによって販売比率が大きく偏ることがあります。

固定レーンだけでなく可変レーンを用意する

事前予測だけで、実際の販売比率を完全に当てることは難しいものです。

そこで全レーンを商品ごとに完全固定するのではなく、状況に応じて担当商品を変更できるレーンを用意しておくと対応しやすくなります。

通常時は商品Aと商品Bを扱い、商品Aの注文が集中したらA専用へ切り替える。ドリンクが集中したら一部の人員をドリンク補助へ回す。

このようにピーク時の逃げ道を残しておきます。

厨房と販売レーンの間に商品を受ける場所をつくる

厨房と販売カウンターを直接つなげると効率が良さそうに見えます。

ただ、厨房と販売側の速度が常に完全一致するわけではありません。

厨房から一時的に商品が大量に上がることもあれば、販売側から急に商品がなくなることもあります。

商品の安全管理上問題がなく、一時保管できる商品であれば、

厨房 → 一時ストック → 販売レーン

という流れをつくることで供給を安定させやすくなります。

どのくらい先行して調理するのか。何食まで保温できるのか。完成後どのくらいで提供するのか。

ここはブースレイアウトだけではなく、厨房設備や調理工程と合わせて考えます。

厨房設備や電源、給排水の考え方については、大型イベントの仮設厨房に必要な設備とは?電源・給排水・厨房機器の設計方法で詳しく解説しています。

補充スタッフを来場者動線へ入れない

飲食ブースでは商品以外にも大量の物が動きます。

カップ、容器、カトラリー、ナプキン、ストロー、ソース、氷などです。

消耗品が一つ切れただけでも、そのレーンが止まることがあります。

販売スタッフ自身が毎回バックヤードへ取りに行く運用では、そのたびにレーンから人が抜けます。

大型イベントでは、

バックヤード → 中間ストック → 厨房・各販売レーン

という補充ルートをつくり、できるだけお客様の動線から分離します。

ブース正面だけを見るのではなく、裏側を人と物がどう動くのかまで設計します。

スタッフ数は工程ごとに考える

10レーンあるから10人。これだけでは大型イベントの必要人数は出せません。

会計、加熱、盛り付け、ドリンク、商品補充、受け渡し、列整理、バックヤードなど、販売方法によって複数の役割が発生します。

例えばフライヤーを追加して加熱能力が2倍になっても、盛り付け担当が同じ人数なら、今度は盛り付け工程に商品が溜まります。

設備だけ増やしても、それを動かす人員がなければ処理能力は上がりません。

スタッフ配置については、大型イベント飲食で必要なスタッフ人数の計算方法で、販売数やピーク時間から考える方法を解説しています。

行列は長さより「どこへ伸びるか」が重要

人気イベントでは、行列を完全になくすことが難しいケースもあります。

問題は、列ができること自体よりも、その列がどこへ伸びるかです。

避けたい待機列

隣のブース入口を塞ぐ。メイン通路へはみ出す。会計列と受け取り列が混ざる。他のコンテンツへ向かう来場者と交差する。

こうなると飲食エリアだけではなく、会場全体の運営に影響します。

そのため待機列は、通常時だけではなく「最大でどこまで伸びる可能性があるか」まで想定します。

列整理スタッフにも、どの地点まで伸びたらどこへ折り返すのかを共有しておいた方が現場で判断しやすくなります。

受け取り後の退場動線までつくる

最後に見落としやすいのが、商品を受け取った後です。

商品を受け取ったお客様がその場で袋を整理する。友人を待つ。購入した商品を確認する。写真を撮る。

こうした行動が受け渡しカウンターの前で起こると、次のお客様が前へ進めません。

受け渡し場所で人を止めない

入口と出口をできるだけ分ける。受け取り後に入口方向へ戻らない。商品を整理する場所を受け渡し場所から離す。

商品を渡した瞬間でオペレーションが終わるのではなく、お客様が飲食ブースから抜けるところまでが動線設計です。

一番遅い工程がブース全体の販売能力になる

大型イベントの飲食では、各工程の処理能力を並べてみると問題点が見つけやすくなります。

例えば、会計1,500件/時間、厨房1,200点/時間、盛り付け900点/時間、受け渡し1,300点/時間だったとします。

この場合、会計レジをさらに増やしても販売数はほとんど増えません。

先に改善するべきなのは、900点/時間しか処理できない盛り付けです。

ボトルネックを改善する

スタッフを追加する。盛り付け台を増やす。トッピング工程を減らす。容器を変更する。事前にできる作業を厨房側へ移す。

混んでいるように見える場所だけではなく、どの工程が全体の速度を決めているのかを見ることが大切です。

1商品10秒の違いが大型イベントでは大きい

1食の盛り付けに40秒かかる商品を30秒へ短縮できたとします。

1食では10秒しか変わりません。

ところが3,000食販売するなら、単純計算では30,000秒分の作業差になります。約8時間20分です。

実際には複数スタッフで並行して作業するため、そのまま8時間短縮されるわけではありません。

それでも、大量販売では1食あたりの小さな工程差が大きく積み上がります。

メニュー開発時点で確認する

何秒で盛り付けられるか。何工程あるか。どの設備を使うか。複数のスタッフが同じ品質で作れるか。

大型イベントでは、ブース設計とメニュー設計を別々に考えない方が効率的です。

本番前に連続提供テストをする

図面上では問題がなくても、人が実際に入ると想定どおりに動けないことがあります。

可能であれば開催前に、注文から受け渡しまで実際のスタッフで動かします。

注文 → 会計 → 調理 → 盛り付け → 商品供給 → 受け渡し

このとき1食だけ作って確認しても、大型イベントのテストにはなりません。

一定時間連続して注文が入る状態をつくり、どこに商品が溜まるのか、どこでスタッフが交差するのか、どの消耗品が早くなくなるのか、厨房から販売側への補充は追いつくのかを確認します。

さらに実測した数量を1時間換算し、想定しているピーク販売数に耐えられるか確認します。

本番前に30分でも連続して動かすと、図面だけでは見えなかった問題が出てくることがあります。

大型イベントの飲食ブースは全体を一つのシステムとして考える

大型イベントの飲食ブースは、レジ、厨房、スタッフ、販売レーンを個別に決めて最後に組み合わせるのではなく、最初から一つの流れとして設計した方が組みやすくなります。

来場者数 → 飲食利用率 → 販売数 → ピーク販売数 → 会計能力 → 厨房能力 → 盛り付け能力 → 販売レーン → スタッフ配置 → 受け渡し → 退場

ここまでが一つの飲食オペレーションです。

どこか一つだけ処理能力が低ければ、そこで行列や商品滞留が発生します。

大型イベントの飲食を外部へ依頼する場合も、当日の販売スタッフを用意できるかだけではなく、販売数予測、厨房、電源、給排水、スタッフ配置、レーン設計まで対応できるかを確認しておきたいところです。

依頼先を検討する際のポイントは、大型イベントの飲食運営会社の選び方でも詳しく紹介しています。

Team Cafe Tokyoでは、大型イベントやIPイベントのメニュー開発だけではなく、販売数予測、仮設厨房、厨房設備、電源・給排水、必要スタッフ数、販売レーン、会計方法、商品供給、受け渡しまで含めて飲食エリアを設計しています。

大型イベントの飲食企画・運営については、Team Cafe Tokyo 大型イベント飲食サービスでも対応内容をご紹介しています。

当日の販売だけではなく、「何食売るのか」「どう作るのか」「どう渡すのか」から飲食エリアを組み立てたい場合は、お気軽にご相談ください。

合わせて読みたい→大型イベントで必要な飲食販売数の計算方法
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