大型イベントで必要な飲食販売数の計算方法|来場者数から発注数・安全在庫まで予測する方法

来場者数から発注数・安全在庫まで予測する方法

大型イベントの飲食計画で、最初に大きな問題になるのが「何食用意すればいいのか」です。来場者が1万人だから1万食を用意する、前年に5,000点売れたから今年も5,000点発注するといった決め方では、欠品や大量廃棄につながる可能性があります。

大型イベントで必要な飲食販売数を考える場合は、単純な来場者数だけではなく、飲食利用率、1人あたり購入点数、商品カテゴリ別の構成比、ピーク時間、安全在庫、現場の処理能力まで組み合わせて考える必要があります。

例えば来場者数10,000人のイベントでも、飲食利用率が20%なのか50%なのかで必要数量は大きく変わります。さらに1人1点購入するイベントと、フード・ドリンク・デザートを複数購入するイベントでは、必要な商品数はまったく違います。

この記事では、大型イベントやゲームイベント、アニメ・キャラクターイベント、展示会、音楽イベントなどで必要になる飲食販売数について、基本的な計算式から商品別発注数、安全在庫、ピーク時間の考え方まで解説します。

大型イベントの飲食販売数は来場者数だけでは決められない

イベントの飲食数量を考えるとき、最も分かりやすい数字は来場者数です。しかし来場者全員が飲食商品を購入するわけではありません。

会場周辺に飲食店が多いイベント、飲食目的の来場者が多いイベント、滞在時間が長いイベント、コラボフードそのものがコンテンツになっているイベントなど、イベントの性質によって飲食利用率は変わります。

さらに同じ飲食利用者でも、購入点数に差があります。昼食としてフードを1点だけ購入する人もいれば、フード、ドリンク、デザートをまとめて購入する人もいます。

そのため大型イベントの飲食販売数は、まず次の式を基準に考えます。

想定販売数 = 来場者数 × 飲食利用率 × 1人あたり平均購入点数

ここから商品カテゴリやSKUごとの構成比を掛け合わせ、最終的な発注数量へ落とし込んでいきます。

飲食販売数を計算する基本式

1.想定来場者数を設定する

最初にイベントの想定来場者数を確認します。チケット販売型のイベントであれば販売枚数、過去開催実績がある場合は前年の来場者数、初開催の場合は会場キャパシティや主催者の来場予測などを基準にします。

例えば、1日の想定来場者数が10,000人とします。

ただし、来場者数はそのまま飲食利用者数ではありません。次に飲食利用率を設定します。

2.飲食利用率を設定する

飲食利用率とは、イベント来場者のうち何%が会場内の飲食商品を購入するかを表す数字です。

例えば来場者10,000人、飲食利用率30%なら、

10,000人 × 30% = 3,000人

となり、想定飲食利用者数は3,000人です。

飲食利用率はイベントの内容によって変わります。滞在時間が長いイベント、飲食がイベントコンテンツの一部になっている場合、会場外へ出にくいイベントなどでは利用率が高くなる可能性があります。

反対に短時間滞在のイベントや、周辺に飲食施設が充実している会場では、利用率が低くなる場合があります。

そのため初期段階では一つの数字に決め打ちせず、例えば20%、30%、40%という複数パターンで試算しておくとリスクを確認しやすくなります。

3.1人あたりの平均購入点数を設定する

次に、飲食を利用する1人が平均何点の商品を購入するかを設定します。

例えば飲食利用者3,000人が平均2点購入すると仮定した場合、

3,000人 × 2点 = 6,000点

となります。

つまり、来場者10,000人、飲食利用率30%、平均購入点数2点の場合、基本となる販売想定は6,000点です。

ここで重要なのは、「6,000食」ではなく「6,000点」と考えることです。フード3,000点、ドリンク2,000点、デザート1,000点かもしれませんし、イベントによって構成は変わります。

商品カテゴリ別の販売数へ分解する

全体販売数を出しただけでは、実際の商品発注には使えません。次にフード、ドリンク、デザートなど、カテゴリ別の販売構成比へ分解します。

フード・ドリンク・デザートの構成比を決める

例えば全体販売想定6,000点に対して、次のような構成を想定します。

  • フード:45%
  • ドリンク:35%
  • デザート:20%

この場合の販売想定は、

  • フード:2,700点
  • ドリンク:2,100点
  • デザート:1,200点

となります。

ただし、この比率もイベントによって大きく異なります。夏場の屋外イベントならドリンク比率が高くなりやすく、キャラクターをテーマにしたデザートが強いイベントならデザート比率が上がることがあります。

重要なのは、全商品を均等に発注するのではなく、カテゴリごとの需要差を最初から想定することです。

SKU別の販売数量を計算する

商品数で単純に均等割りしない

例えばフード5種類で2,700点を販売するとして、単純に5で割れば1商品540点になります。しかし実際には、すべての商品が同じ数だけ売れることはほとんどありません。

価格、見た目、キャラクター、ボリューム、食べやすさ、限定感などによって人気差が発生します。

そのためSKU別には、販売構成比を設定します。

  • 商品A:30%
  • 商品B:25%
  • 商品C:20%
  • 商品D:15%
  • 商品E:10%

フード全体2,700点の場合、

  • 商品A:810点
  • 商品B:675点
  • 商品C:540点
  • 商品D:405点
  • 商品E:270点

という販売想定になります。

大型イベントでは、人気商品と低需要商品の差が想定以上に大きくなることがあります。そのため過去データが存在する場合は、必ず商品別の販売実績を確認することが重要です。

コラボイベントではキャラクター人気も販売数に影響する

アニメ、ゲーム、キャラクターなどのIPイベントでは、通常の飲食イベントとは異なる売れ方をすることがあります。

商品の味や価格だけではなく、「どのキャラクターの商品か」「どの学園・チーム・グループの商品か」「特典が付くか」といった要素が販売数量に影響します。

そのためIPイベントの場合は、商品カテゴリだけでなく、キャラクターや作品内グループごとの人気も考慮して販売構成を調整する必要があります。

特にランダム特典や商品購入特典がある場合、通常の飲食需要以上に複数購入が発生する可能性があります。

この場合、一般的な飲食イベントの「1人1食」という考え方では必要数量を正しく予測できません。

販売数だけでなくピーク時間の数量を計算する

1日6,000点売れることと6,000点提供できることは別問題

大型イベントで非常に重要なのが、時間帯別の販売数量です。

例えば1日6,000点を6時間で販売すると、単純平均では1時間1,000点です。しかし実際には、毎時間1,000点ずつ均等に売れるとは限りません。

例えば、

  • 11時台:500点
  • 12時台:1,500点
  • 13時台:1,400点
  • 14時台:1,000点
  • 15時台:800点
  • 16時台:800点

という売れ方をする可能性があります。

この場合、1日の販売数量6,000点には対応できる在庫があったとしても、12時台に1,500点を提供できる設備・人員・レーンがなければ、長時間の行列や販売機会損失が発生します。

そのため大型イベントでは、1日の販売予測とピーク時間の処理能力を別々に計算することが重要です。

販売数量と提供能力を照らし合わせる

提供速度から1レーンの最大販売数を求める

商品ごとの販売数量を決めたら、現場で実際にその数量を提供できるかを確認します。

例えば1商品を60秒で提供できる場合、理論上1レーンで1時間60点です。

ピーク1時間に600点販売したい商品であれば、

600点 ÷ 60点 = 10レーン

が理論上必要になります。

もし会場条件から5レーンしか設置できない場合、販売予測が間違っているのではなく、現場の処理能力が需要に追いついていない状態です。

この場合は、SKUの削減、提供工程の短縮、事前製造、設備追加、販売時間の分散などを検討します。

つまり大型イベントの販売数計算は、単なる発注数の計算ではありません。需要予測と現場処理能力を一致させるための計算でもあります。

安全在庫は商品ごとに考える

全商品を一律10%増やすだけでは不十分

販売予測には必ず誤差があります。そのため想定販売数に対して一定の安全在庫を持つことがあります。

例えば想定販売数1,000点の商品に安全在庫10%を設定する場合、

1,000点 × 1.10 = 1,100点

が準備数量になります。

ただし、安全在庫率を全商品一律に設定する方法が必ずしも最適とは限りません。

追加納品ができない商品、売り切れによる機会損失が大きい人気商品には高めの安全在庫を設定し、賞味期限が短い商品や廃棄コストが高い商品は低めに設定するなど、SKUごとに調整します。

  • 人気が集中しやすい商品:安全在庫を厚めに設定
  • 追加製造できる商品:安全在庫を抑える
  • 賞味期限が短い商品:過剰在庫を避ける
  • 冷凍保管できる商品:余剰リスクを抑えやすい
  • イベント限定OEM商品:追加生産の可否を事前確認

重要なのは「売り切れを絶対に出さないこと」だけではありません。売り切れによる機会損失と、余剰在庫による廃棄損失のバランスを見る必要があります。

複数日開催では毎日同じ数量を用意しない

2日間、3日間、4日間と続くイベントの場合、全日程で同じ販売数になるとは限りません。

初日への需要集中、土曜と日曜の来場者差、最終日の駆け込み購入などによって日別の販売数量は変わります。

例えば4日間合計24,000点の販売を予測していても、単純に1日6,000点ずつ用意するのではなく、

  • 1日目:5,500点
  • 2日目:6,000点
  • 3日目:6,800点
  • 4日目:5,700点

といった日別配分を設定することがあります。

複数日開催では、初日の実績を翌日の発注や仕込みに反映できる体制を作っておくことで、予測精度を高めることができます。

天候・気温も販売数に影響する

特にドリンクと温冷商品の需要は変わりやすい

屋外イベントだけでなく、屋内イベントでも気温は商品構成に影響します。

暑い日は冷たいドリンクやアイス系商品の販売比率が上がりやすく、寒い日は温かいフードやスープ類の需要が高くなる可能性があります。

そのため開催直前に天気予報を確認し、商品ごとの安全在庫や仕込み数量を微調整できる体制を作っておくことも重要です。

特に飲料や一部の冷凍商品など、直前追加発注が可能な商品については、早い段階ですべてを固定してしまわず、需要変動に対応できる余地を残しておく方法もあります。

過去実績がある場合は必ず実績値を使う

同じイベントや近い条件のイベントを過去に開催している場合、その実績は販売予測の重要なデータになります。

確認したいのは総販売数だけではありません。

  • 来場者数
  • 飲食利用者数
  • 商品別販売数
  • カテゴリ別販売構成比
  • 時間帯別販売数
  • 売り切れ時間
  • 余剰在庫数
  • 平均購入点数
  • 客単価

これらを確認すると、次回開催時の飲食利用率やSKU別構成比をより現実的な数字へ修正できます。

特に「最終的に何個売れたか」だけを見るのではなく、途中で売り切れた商品がなかったかを確認することが重要です。

例えば実績販売数が500点でも、14時に完売していたのであれば、本来の需要は500点以上だった可能性があります。販売実績と実際の需要は必ずしも同じではありません。

 

大型イベントの販売数計算でよくある失敗

 

来場者数と販売数を同じにする

1万人来場するから1万点用意するという考え方では、飲食利用率と複数購入を反映できません。来場者数はあくまで販売予測のスタート地点です。

全商品を均等に発注する

10商品あるから販売予測10,000点を1,000点ずつ発注するという方法では、商品の人気差を考慮できません。カテゴリ別、SKU別の販売構成比を設定する必要があります。

安全在庫を増やしすぎる

欠品を恐れてすべての商品を大量に追加すると、イベント終了後に大量廃棄が発生する可能性があります。商品の保存性、追加製造可否、人気度によって安全在庫率を変えることが重要です。

1日合計だけを見ている

1日の必要数量を用意できても、ピーク時間の販売能力が不足すれば行列は発生します。販売数量と同時に時間帯別の需要と処理能力を確認する必要があります。

販売実績だけをそのまま翌年に使う

前年の販売実績がある場合でも、来場者数、商品価格、メニュー数、開催時間、特典内容などが変われば売れ方も変わります。

前年実績は重要な基準ですが、今年の条件に合わせて補正する必要があります。

大型イベントの飲食販売数を計算する基本手順

ここまでの内容を整理すると、基本的な計算手順は次のようになります。

  • 想定来場者数を設定する
  • 飲食利用率を設定する
  • 平均購入点数を設定する
  • 全体販売点数を算出する
  • フード・ドリンク・デザートなどへ構成比を分ける
  • SKUごとの販売構成比を設定する
  • 商品別の安全在庫率を設定する
  • 時間帯別のピーク販売数を予測する
  • 提供速度から必要レーン数を確認する
  • 設備・人員の処理能力と販売予測を照合する
  • 開催中の実績を翌日以降の数量へ反映する

つまり、来場者数から発注数を出して終わりではありません。販売数量、商品構成、ピーク需要、現場能力を一つの計画としてつなげることが重要です。

大型イベントの飲食販売数は「需要」と「供給能力」の両方から決める

大型イベントで必要な飲食販売数を考える際には、「何個売れそうか」という需要予測だけに注目しがちです。

しかし実際には、1万点の需要があっても、設備や人員の能力が7,000点しかなければ1万点を販売することはできません。

反対に1万点提供できる設備を準備しても、需要が5,000点しかなければ過剰投資になります。

そのため大型イベントでは、販売需要と提供能力が交わる地点を探すことが重要です。

来場者数、飲食利用率、平均購入点数から需要を予測し、その数量を処理するためのSKU、レーン、人員、厨房設備、電源、在庫まで逆算することで、現実的な飲食運営計画を作ることができます。

大型イベントの飲食企画・販売数量シミュレーションについて

Team Cafe Tokyoでは、イベントの想定来場者数や会場条件をもとに、飲食販売数量の予測から商品構成、レーン、人員、厨房設備まで含めた大型イベントの飲食設計を行っています。

  • 来場者数からの販売数量予測
  • 飲食利用率の設定
  • 平均購入点数の試算
  • SKU別販売数量のシミュレーション
  • 商品別安全在庫の設定
  • ピーク時間の販売数予測
  • 必要レーン数の算出
  • 必要人員の算出
  • 厨房設備・電源・給排水設計
  • 原価・売上・収支シミュレーション
  • 当日の販売実績管理

大型イベントでは、「何個用意するか」だけではなく、その数量を実際に販売できる仕組みまで設計することが重要です。

イベント制作会社様、広告代理店様、IPホルダー様、イベント主催者様で、大型イベントの飲食企画・運営をご検討の場合はご相談ください。

飲食販売数の予測だけでなく、運営会社を選ぶ際の確認ポイントについては、 大型イベントの飲食運営会社の選び方 もあわせてご覧ください。

大型イベント飲食の企画・運営についてはこちら

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