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カフェ居抜き物件の選び方|開業前に確認する10項目

アンティーク家具に囲まれた店内

カフェ 居抜き物件を選ぶ前に確認したいこと

カフェを始めるとき、物件費と内装・厨房設備は最初の大きな支出になります。そこで候補に上がるのが居抜きです。ただし、カフェ 居抜き物件は「設備が残っているから安い」という理由だけで決めると危険です。残っている設備が自分のメニューに合わなければ、撤去と買い直しでスケルトンより高くなることさえあります。

Team Cafe Tokyoでも店舗づくりや業態設計に関わる中で、物件の良し悪しは家賃だけでは決められないと感じます。見るべきなのは、客数を作れる立地か、必要な厨房能力が取れるか、営業を続けられる固定費か、そして退店時まで含めて契約条件が読めているかです。ここでは、カフェ開業に絞って居抜き物件を判断する順番を整理します。

カフェの居抜き物件は「残っているもの」より「足りないもの」を見る

内見で目に入りやすいのは、カウンター、冷蔵庫、製氷機、シンク、エアコン、照明などです。しかし実務で問題になるのは、必要な能力が足りない部分です。エスプレッソマシンを置きたいのに電気容量が足りない、焼き菓子を増やしたいのに排気が弱い、ランチを出したいのに作業台が足りない。こうした不足は、開業直前に見つかるほど高くつきます。

設備は「ある・ない」ではなく、型番、年式、所有者、動作、修理履歴まで確認します。リース品が混ざっていないか、造作譲渡の対象に何が含まれるかも書面で整理しておくと、引き渡し後の認識違いを減らせます。

最初に売上モデルを置いてから家賃を見る

良さそうな物件を見つけてから売上を考えるのではなく、先に「何席で、何回転し、客単価はいくらか」を置きます。例えば20席で平均客単価1,200円でも、平日と休日、朝・昼・夕方で稼働率は変わります。テイクアウト比率やデリバリーを入れるなら、その売上と手数料も別に見ます。

家賃比率だけで安全性を判断するのも避けたいところです。人件費、原価、水道光熱費、決済手数料、販促費、借入返済まで含めて月次損益を作り、「売上が計画の8割でも資金が回るか」を確認します。開業後すぐに満席になる前提を置かない方が、現実的な判断ができます。

カフェ特有の設備チェックは電気・給排水・排気

コーヒー中心の小型店でも、エスプレッソマシン、グラインダー、製氷機、食洗機、冷蔵冷凍庫を同時に使えば電気負荷は大きくなります。単相・三相の契約、分電盤の空き、増設の可否は必ず確認します。厨房機器を増やす計画があるなら、将来分まで見ておく方が安全です。

給排水はシンクの数だけでなく、排水勾配、詰まり、漏水跡、グリストラップの状態まで見ます。排気も同様です。前店舗が軽食中心だった場所で強い加熱調理を始めると、ダクト工事や臭気対策が必要になることがあります。ビル側の工事制限があるため、契約前に管理側へ確認します。

造作譲渡費は「新品価格」ではなく現在価値で考える

前オーナーが高額で購入した設備でも、数年使えば価値は下がります。造作譲渡費を見るときは、新品価格ではなく中古相場、残存耐用年数、修理可能性、撤去費まで含めて評価します。古い機器を高く引き継ぐくらいなら、譲渡費を抑えて必要な機器だけ新品にする方が総額で安いこともあります。

厨房機器は壊れたときに営業へ直結します。特に製氷機、冷蔵庫、食洗機のような毎日使う設備は、故障時の代替が難しいため、保守先や部品供給の有無も見ておくと安心です。

立地調査は一度ではなく曜日と時間を変える

駅から近いかどうかだけでなく、自店の客層が通るかを見ます。平日の朝、昼、夕方、休日で人の流れは変わります。オフィス街なら土日が弱く、住宅地なら朝夕と休日が強いことがあります。競合店の混み方、テイクアウト利用、周辺の学校やオフィス、スーパーなども観察すると商圏が具体的になります。

店前通行量が多くても、入口が見えにくい、階段で上がりにくい、看板が出せない、といった条件で入店率が落ちます。物件資料だけでは分からないため、現地では「初めて来た客が迷わず入れるか」という視点でも歩いてみます。

保健所と消防の確認は契約前に

飲食店営業には営業許可が必要で、施設基準は自治体の運用も含めて確認が必要です。食品衛生責任者の設置など、営業開始までに準備する事項もあります。図面が固まってから直すと費用が増えるので、契約や大きな工事の前に所管保健所へ相談するのが基本です。

消防関係も店舗の規模、建物用途、収容人員、火気設備などで必要な届出や設備が変わります。前店舗が営業できていたから自店もそのまま営業できるとは限りません。用途やレイアウトを変える場合ほど早めに所轄消防署へ確認します。

契約前に確認したい10項目

実務では、①賃料と共益費、②保証金・礼金、③造作譲渡費、④契約期間と更新条件、⑤解約予告、⑥原状回復、⑦設備所有者、⑧工事区分、⑨看板・営業時間の制限、⑩退店時の造作譲渡可否を最低限確認します。口頭で「大丈夫」と言われた事項ほど、特約や別紙を含めて書面で残します。

居抜きは上手く使えば開業費と準備期間を圧縮できます。一方で、前店舗の設備と契約を引き継ぐ性質上、確認不足の影響も大きい物件です。安さから入るのではなく、自店の事業計画に合うかを順番に検証することが、結果として一番の近道になります。

よくある質問

居抜き物件ならカフェ開業費は必ず安くなりますか?

必ずではありません。設備の撤去・修理、電気や排気の増設、内装変更が多いと総額が上がります。造作譲渡費を含めた総投資額で比較します。

内見には誰を連れて行くとよいですか?

可能なら内装・厨房設備の担当者と一緒に確認します。契約条件は宅地建物取引士や専門家にも確認し、許認可は所管保健所・消防署へ事前相談します。

契約前に保健所へ相談できますか?

できます。図面や予定メニューを持参して相談すると、必要設備や施設基準の確認がしやすくなります。自治体ごとに運用が異なるため所管窓口で確認してください。

造作譲渡費はいくらなら妥当ですか?

一律の相場だけでは判断できません。設備の年式、状態、中古価値、撤去費、内装の再利用価値を積み上げて判断します。

内見では写真だけでなく寸法も残す

内見時は厨房機器の写真だけでなく、通路幅、カウンター奥行き、冷蔵庫予定位置、搬入口、ドア幅まで測っておくと、後から機器選定をするときに役立ちます。特に大型冷蔵庫や製氷機は搬入経路で入らないケースがあります。機器本体が置けても、扉の開閉やメンテナンススペースが取れなければ営業後に困ります。

図面と現況が一致していない物件もあります。壁を抜いた跡や増設配管など、後施工部分は管理会社へ確認し、どこまで貸主承認済みかを確認します。見た目が完成している居抜きほど「そのまま使える」と思いやすいので、寸法と設備条件を一つずつ現物確認する方が安全です。

売れる時間帯と仕込み時間を物件に当てはめる

モーニングを強くしたいのにビルの入館時間が遅い、夜営業したいのに営業時間制限がある、といったズレは物件契約後には直せません。営業開始前の仕込み時間、納品時間、ゴミ出し時間も含めて、一日の運営スケジュールを物件条件へ当てはめます。

カフェでは豆、牛乳、パン、菓子、青果など納品頻度の違う食材を扱います。バックヤードが小さい物件では、在庫を置けない代わりに納品回数が増え、発注や受け取りの手間が増えます。厨房だけでなく倉庫容量まで事業コストとして見ると、安い物件の隠れた負担が見えます。

近隣との相性も契約条件の一部と考える

カフェは強い臭気が少ない業態でも、ミル音、椅子を引く音、テラス席の会話、早朝の仕込みなどが近隣トラブルになることがあります。住宅が近い物件では、過去に騒音苦情がなかったか、テラス利用に制限がないかを管理側へ確認します。

近隣店舗との業種重複も見ます。同じビルに似たカフェがある場合、テナント契約上の競業制限があるケースもあります。逆に美容室や物販、オフィスなど相性の良いテナントが入る建物なら、館内回遊から来店を得られることもあります。建物全体の使われ方も商圏の一部です。

最後は開業費ではなく回収期間で比較する

居抜きAは初期費用600万円、スケルトンBは900万円でも、Aの設備修理と低い客席効率で毎月利益が10万円少ないなら、数年後にはBの方が有利になる可能性があります。物件比較は初期費用だけでなく、月次利益と投資回収期間まで置くと判断が変わります。

開業資金を抑えることは重要ですが、安く始めること自体が目的ではありません。営業を始めた後に売上と利益を作り、投資を回収できることが目的です。居抜きの強みは「使える部分を買う」ことにあるので、使わない設備や合わない内装まで価値として評価しないことが大切です。

見積もりは「入居できる状態」まで取る

内装会社の見積もりは、厨房、電気、給排水、サイン、空調、消防関連工事など範囲が分かれていることがあります。安く見える見積もりでも、別途工事が多ければ総額は上がります。項目を横並びにし、開業日に営業できる状態まで何が含まれているかを確認します。

厨房機器も本体価格だけでなく、搬入、設置、接続、既存機器撤去まで含めて比較します。居抜きは「残す工事」と「直す工事」が混ざるため、誰がどこまで責任を持つかを見積書上でも明確にしておくと追加費用を追いやすくなります。

開業後の改装余地を残す

初期段階ですべてを完成させると、営業してから客の使い方が想定と違ったときに直しにくくなります。可動家具や後から追加できる棚など、変更余地を残す方法もあります。

実際の来店客が一人利用中心なのか、二人組が多いのかによって席配置は変わります。居抜きの既存内装を活かしつつ、営業データを見て段階的に投資する方が無駄を抑えられる場合があります。

カフェ 居抜き物件を検討するときは、記事内の一項目だけで決めず、資金・運営・契約を同じ事業計画の中で確認することが重要です。

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