大型イベントで大量提供できるフードメニューの作り方|提供速度・原価・厨房設備から考える

大型イベントで大量提供できるフードメニュー

大型イベントのフードメニューは、「おいしい」「見た目がいい」だけでは成立しません。

数千人、数万人が来場するイベントでは、短時間に注文が集中します。そこで1商品に時間がかかると、厨房だけではなく盛り付け、受け渡し、販売レーンまで連鎖して詰まります。

特にIPイベントやキャラクターイベントでは、作品らしさや写真映えも求められます。

その一方で、現場では限られた厨房設備とスタッフで数千食を安定して提供しなければなりません。

つまり大型イベントの商品開発では、

商品として魅力があるか × 大量に作れるか × 短時間で提供できるか × 利益が残るか

を同時に成立させる必要があります。

この記事では、大型イベントやIPイベントで大量提供するフードメニューを、実際の販売オペレーションから逆算してどう設計するのかを解説します。

大型イベントのフードメニューは「売れた後」まで考えて開発する

通常の商品開発では、味、見た目、価格、原価などを中心に考えます。

大型イベントでは、そこにもう一つ「処理能力」という考え方が加わります。

例えば、非常に完成度の高い商品でも、注文が入ってから1食ずつ加熱し、盛り付け、複数のトッピングを行い、完成まで2分かかるとします。

100食なら対応できても、3,000食、5,000食を短時間で販売するイベントでは、その2分が大きなボトルネックになります。

大型イベントでは「この商品を作れるか」ではなく、「この商品をピーク時に何食出せるか」まで確認してメニューを決めます。

そもそも何食準備するべきかについては、大型イベントで必要な飲食販売数の計算方法で詳しく解説しています。

1食の提供時間から逆算する

大量提供メニューを考えるとき、最初に確認したい数字の一つが1食あたりの提供時間です。

例えば最終工程に60秒かかる商品と30秒で完了する商品では、同じスタッフ数でも処理能力に大きな差が出ます。

単純計算なら、1人のスタッフが60秒で1点仕上げる場合は1時間60点。

30秒なら1時間120点です。

もちろん実際の厨房では複数商品を並行して作るため、これほど単純ではありません。

それでも、盛り付けや仕上げの時間を計測すると、どの工程が大量提供を止める可能性があるのか見つけやすくなります。

特に数千食を販売するイベントでは、1食あたり10秒、20秒の違いが現場全体では大きな差になります。

調理工程を増やしすぎない

イベントメニューを豪華に見せようとすると、どうしても工程が増えがちです。

加熱して、ソースをかけて、トッピングを3種類載せて、最後にキャラクターの装飾を付ける。

1食だけ作るなら問題ありません。

しかしピーク時に100件、200件と注文が続くと、一つひとつの工程が積み重なります。

工程を分解して考える

商品開発の段階で、実際の作業を一度分解します。

保管 → 加熱 → 盛り付け → ソース → トッピング → IP表現 → 受け渡し

その中で、どの工程を事前に終わらせられるかを考えます。

注文後に行う必要がない工程を前へ移せれば、ピーク時の処理能力を上げられます。

反対に、すべての工程を注文後に行う商品は、大量販売になるほど負荷が高くなります。

メニューごとに「1時間何食作れるか」を出す

提供時間だけでなく、加熱設備の処理能力も確認します。

例えば1回20食を5分で加熱できる機器なら、計算上は1時間240食です。

ただし実際には、商品の投入、取り出し、次の商品準備、盛り付けなどがあります。

フライヤーなら連続投入による油温低下もあります。

スチームコンベクションオーブンなら、1回に入る数量と加熱時間、商品の入れ替え時間まで見ます。

そのためカタログ上の機器能力ではなく、実際の商品を使って1時間あたり何食を販売可能な状態まで持っていけるかを確認します。

必要な厨房設備や電源、給排水については、大型イベントの仮設厨房に必要な設備とは?電源・給排水・厨房機器の設計方法で詳しく紹介しています。

大量提供では「現場で調理しない」という選択肢もある

すべての商品をイベント会場でゼロから調理する必要はありません。

イベント規模が大きくなるほど、どこまで事前に製造しておくかが重要になります。

例えば外部の許可施設やOEM先で製造し、冷凍または冷蔵状態で会場へ納品する方法があります。

会場では加熱、盛り付け、最終仕上げだけを行う。

この方法なら、現場厨房の工程を減らせる可能性があります。

OEMを使うときも提供工程から逆算する

OEMを使えば自動的に大量提供できるわけではありません。

納品形態、保管温度、解凍時間、加熱方法、賞味期限、1ケースあたりの数量まで確認します。

例えば冷凍状態では保管しやすくても、解凍に長時間必要な商品なら、イベント当日の在庫管理が複雑になります。

逆に個包装された商品を必要数だけ加熱できる設計なら、数量管理がしやすくなる場合があります。

「どこで作るか」だけではなく、「会場へ届いてからどう提供するか」まで見てOEM仕様を決めます。

保温できる商品と注文後に仕上げる商品を分ける

大型イベントでは、すべての商品を注文が入ってから作っているとピーク需要に追いつかない場合があります。

そこで商品ごとに、どこまで先行して準備できるかを決めます。

安全な温度管理や品質を保てることが前提ですが、ピーク前に一定数量を準備できる商品なら、注文集中時の負荷を分散できます。

一方で、時間が経つと品質が大きく落ちる商品は、先行調理に向きません。

大量提供メニューを考えるときは、味だけではなく完成してから提供まで品質を維持できる時間も確認します。

冷蔵・冷凍スペースからメニュー数を考える

メニューを増やすと、それだけ保管する食材も増えます。

15商品を販売するなら、15商品分の食材をどこかに保管しなければなりません。

冷凍商品が多ければ冷凍庫が必要になります。

ドリンクが多ければ冷蔵庫や製氷能力が必要です。

さらに1日分を厨房へ置けない場合は、バックヤードから補充する必要があります。

商品数を増やした結果、厨房内の保管スペースがなくなり、スタッフの作業場所まで圧迫することもあります。

大型イベントでは「商品数を増やせるか」ではなく、そのSKU数を現場で管理できるかまで確認します。

SKUを増やしすぎると販売能力が落ちることがある

商品数が多いほど、お客様にとって選択肢は増えます。

ただし、飲食オペレーション側では複雑になります。

食材が増える。

保管場所が増える。

調理工程が増える。

スタッフが覚える作業が増える。

会計時に商品を選ぶ時間も長くなる。

人気商品とそうでない商品の販売差も大きくなります。

特に短時間で大量販売するイベントでは、メニュー数を増やすことが必ずしも売上最大化につながるとは限りません。

商品数を絞って各商品の処理能力を上げた方が、結果的に総販売点数が伸びるケースもあります。

共通食材を使って厨房をシンプルにする

複数メニューを販売する場合は、食材や工程を共通化できないか考えます。

例えばベースとなる商品は共通にして、ソースやトッピングだけを変更する。

ドリンクもベースとなるソーダを共通にし、シロップや仕上げで商品を分ける。

こうするとSKU数を維持しながら、厨房内で扱う食材や工程を減らせる場合があります。

IPイベントでは特に有効です。

キャラクターごとに完全に別の商品を15種類作るより、共通工程を持たせながら色、ソース、ピック、カップ、包材などでキャラクター性を表現した方が大量提供しやすくなることがあります。

IP表現を「最後の1工程」に集約する

IPイベントでは、作品やキャラクターを感じられる商品であることが大切です。

ただ、キャラクター表現のために複雑な調理工程を増やしてしまうと、提供速度が落ちます。

そこで考えたいのが、IP表現をできるだけ最後の工程へ集約する方法です。

大量提供と相性のいい表現

オリジナルカップやスリーブを使う。

キャラクターピックを付ける。

ソースやトッピングの色をキャラクターに合わせる。

オリジナル包材を使う。

最終工程でデザインされたパーツを追加する。

もちろん商品によって最適な方法は変わります。

大切なのは、キャラクター性を弱くすることではありません。

大量提供できる工程の中で、どこにIP表現を入れると一番効果的かを考えることです。

写真映えと提供速度を両立させる

イベントフードはSNSに投稿されることも多く、見た目は売上にも影響します。

だからといって、盛り付けを複雑にすればいいわけではありません。

5種類のトッピングを一つずつ載せるより、容器そのものに特徴を持たせる。

細かなデコレーションを現場で行うより、事前に製造できるパーツを使う。

盛り付け担当者の技術によって見た目が変わる商品より、誰が作っても同じ仕上がりになる構成にする。

数千食を販売するなら、1食目と3,000食目で見た目が大きく変わらないことも商品設計の一部です。

原価率だけでメニューを判断しない

大型イベントの商品原価を見るとき、食材原価率だけで判断すると実際の収益性を見誤ることがあります。

例えば食材原価が低い商品でも、盛り付けに多くのスタッフが必要なら人件費が増えます。

専用の厨房機器が必要なら設備費が増えます。

大型の冷凍庫が必要なら電源やレンタル費も増えます。

特殊な容器やIP専用資材を使えば消耗品費も増えます。

見るべきなのは食材原価だけではなく、

食材原価 + 包材・消耗品 + 人件費 + 設備費 + インフラ費

まで含めた商品全体の収益性です。

安い食材を使っていても提供に時間がかかる商品より、多少原価が高くても短時間で大量販売できる商品の方が、イベント全体では利益を残せる場合があります。

販売価格は客単価と購入点数から考える

商品の価格も単品だけでは判断しません。

イベントでは1人が複数商品を購入することがあります。

フード1点、ドリンク1点、デザート1点という購入が多いイベントなら、それぞれの価格だけでなく合計客単価を見ます。

逆に単品購入が中心なら、1商品の販売数量を大きく取る必要があります。

どの商品を入口商品にするのか。

どの商品で客単価を上げるのか。

どの商品を大量販売するのか。

メニューごとの役割を決めると、価格設計もしやすくなります。

売れる商品ほど専用レーンが必要になることがある

商品開発時点で販売比率を想定しておくと、当日のレーン設計にもつながります。

例えば全体の30%を一つの商品が占める想定なら、その商品だけで大きな処理能力が必要になります。

その場合、専用の盛り付け場所や受け渡しレーンを設けた方が効率的なことがあります。

反対に販売比率5%の商品へ専用レーンを1本使うと、スタッフやスペースを十分に活用できない可能性があります。

必要なレーン数については、大型イベントで必要な飲食レーン数の計算方法で詳しく解説しています。

メニューを決めたら必要スタッフ数まで確認する

商品が完成したら、その商品を大量に販売すると何人必要になるのかまで確認します。

加熱担当1人。

盛り付け担当2人。

トッピング担当1人。

受け渡し担当1人。

もし1商品だけで5人必要になるなら、その人数をピーク時に確保できるかを考えます。

さらに10商品あれば、それぞれの工程をどこまで兼務できるかも検討します。

必要スタッフ数の考え方については、大型イベント飲食で必要なスタッフ人数の計算方法で詳しく紹介しています。

ブース動線まで確認して商品を完成させる

大量提供メニューは、厨房で作れるだけでは完成ではありません。

完成した商品を販売カウンターまでどう運ぶのか。

一時ストックをどこへ置くのか。

お客様へどこで渡すのか。

複数商品を購入した場合はどうするのか。

ここまで確認します。

特にフード、デザート、ドリンクで受け渡し場所を分ける場合は、お客様が複数レーンを回る可能性があります。

商品設計と販売動線は切り離さずに考えます。

会計、厨房、商品供給、受け渡しの考え方については、大型イベントの飲食ブース設計|会計・厨房・受け渡しの動線をどう作る?で詳しく解説しています。

試作では味だけでなく連続提供をテストする

通常の試食では、完成した商品の味や見た目を確認します。

大型イベントの場合は、それとは別にオペレーションのテストを行った方が現実的です。

1食を丁寧に作るのではなく、実際に連続して商品を作ります。

連続提供テストで確認すること

10分で何食作れるか。

30分連続した場合でも同じ速度を維持できるか。

どの工程に商品が溜まるか。

食材補充は何分ごとに必要か。

スタッフ同士が交差しないか。

完成品の品質にばらつきが出ないか。

厨房機器の能力が落ちないか。

ここまで確認すると、1時間あたりの実際の処理能力が見えてきます。

そこで想定販売数に届かなければ、スタッフを増やす前に、商品そのものの工程を見直せないか検討します。

大型イベントに向くメニューは「売れる」と「回る」が両立している

大型イベントの商品開発では、料理として完成度が高いだけでは十分ではありません。

作品やイベントとの相性がいい。

写真を撮りたくなる。

購入したくなる価格になっている。

数千食を製造できる。

ピーク時にも短時間で提供できる。

厨房設備に収まる。

スタッフが無理なく作れる。

原価と運営コストを含めても利益が残る。

これらを一つの商品に落とし込んでいきます。

大型イベントでは、「売れる商品」と「回る商品」を別々に考えないことが大切です。

売れても提供できなければ機会損失になります。

大量提供できても魅力がなければ販売数が伸びません。

商品開発の段階から販売数、厨房、スタッフ、レーン、受け渡しまでつなげて設計することで、初めて大型イベント向けのフードメニューになります。

Team Cafe Tokyoでは、大型イベントやIPイベントにおけるメニュー開発から、販売数量の予測、OEM選定、厨房設備、電源・給排水、スタッフ配置、販売レーン、当日の飲食運営まで一貫して設計しています。

大型イベントの飲食企画・運営については、Team Cafe Tokyo 大型イベント飲食サービスでも対応内容をご紹介しています。

「メニューは決まっているが大量提供できるか分からない」「何千食を想定して商品を設計すればいいか分からない」といった段階からでもご相談いただけます。

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大型イベント飲食で必要なスタッフ人数の計算方法
大型イベントの仮設厨房に必要な設備とは?電源・給排水・厨房機器の設計方法
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