大型イベントの仮設厨房に必要な設備とは?電源・給排水・厨房機器の設計方法

大型イベントの仮設厨房に必要な設備

大型イベントで飲食エリアをつくるとき、早い段階で詰めておきたいのが厨房です。

展示ホールやイベント会場には、飲食店のような厨房設備が最初から用意されているとは限りません。

数千人、数万人が来場するイベントでも、実際に使えるのは限られた電源と給排水だけ、という会場もあります。

そこで必要になるのが仮設厨房です。

ただし、冷蔵庫やフライヤーを必要そうな台数だけ並べればいいわけではありません。

私たちが大型イベントの飲食を設計するときは、先に販売数とメニューを決め、そこから1時間あたりの必要提供数を出します。

その処理能力を満たすために必要な厨房機器、電源、給排水、スタッフ、販売レーンを順番に組んでいきます。

販売数量をどのように考えるかについては、大型イベントで必要な飲食販売数の計算方法で詳しく解説しています。

この記事では、大型イベントで仮設厨房をつくる際に、どこから考えればいいのかを実際の飲食オペレーションに近い順番で解説します。

先に厨房機器を決めない

仮設厨房を考えるときに、最初から「フライヤーを何台」「冷蔵庫を何台」と設備リストを作るのはおすすめしません。

先に確認したいのは、

  • 何人来場するのか

  • そのうち何人が飲食を利用するのか

  • 1人あたり何点購入するのか

  • 何時間販売するのか

  • どの時間帯に注文が集中するのか

  • どんなメニューを販売するのか

です。

例えば7時間で5,000食を販売するなら、単純平均では1時間あたり約714食です。

ただ、実際のイベントで毎時間714食ずつ均等に売れることはほとんどありません。

開場後、昼前後、ステージやプログラムの終了直後など、一気に注文が集中する時間があります。

平均714食だから714食をつくれる厨房でいい、とはならないわけです。

仮設厨房は1日の総販売数だけを見るのではなく、ピーク時に何食を処理しなければならないかを見ながら設計します。

厨房の能力は「何台あるか」ではなく「何食出せるか」

同じフライヤーを2台設置しても、販売する商品によって処理できる数は変わります。

例えば1回で20食分を揚げられ、1回5分かかる商品なら、計算上は1台で1時間240食です。

ところが現場では、5分ごとに機械的に240食を生産できるわけではありません。

冷凍庫から商品を出す。

フライヤーへ投入する。

揚げる。

油を切る。

容器へ盛り付ける。

ソースやトッピングを付ける。

販売側へ渡す。

ここまで終わって、初めて1商品が販売できる状態になります。

さらに連続投入による油温低下や、食材補充、スタッフの作業スペースも影響します。

厨房設備を考えるときはカタログ上の最大能力ではなく、実際の工程を含めて1時間に何食を販売可能な状態まで持っていけるかで考えた方が現実に近くなります。

大型イベントで使う主な厨房設備

必要な設備はメニューによってかなり変わります。

加熱設備なら、スチームコンベクションオーブン、フライヤー、IH、ガステーブル、グリドル、電子レンジ、炊飯器など。

冷蔵・冷凍設備では、業務用冷蔵庫、冷凍庫、コールドテーブル、冷凍ストッカー、製氷機などを使用します。

ここでも「冷蔵庫3台」のように台数だけで判断しない方がいいです。

1日に使用する食材が厨房内へ収まるのか。

ピーク前に必要な量を保管できるのか。

バックヤードから何分で補充できるのか。

ドリンクで大量の氷を使うなら、製氷機だけで追いつくのか。

商品によって確認するポイントが違います。

会場内のスペースが限られている場合は、すべての在庫を厨房へ置くのではなく、

バックヤード → 厨房 → 販売レーン

という補充の流れをつくることもあります。

厨房を広くすることと、厨房がよく回ることは別です。

 

加熱機器だけでなく保温場所まで考える

大量販売で意外と詰まりやすいのが、調理後の商品です。

1時間に500食加熱できても、完成した商品を置いておける場所がほとんどなければ、ピーク前につくり置きできません。

逆に、安全に保温できる商品であれば、ピークの少し前から準備することで厨房の負荷を分散できます。

どこまで事前調理するのか。

どこから注文後に仕上げるのか。

完成品を何食まで安全に保管できるのか。

この設計によって必要な厨房能力そのものが変わります。

大型イベントでは、加熱機器の能力だけを見るのではなく、加熱後の保温、盛り付け、販売までを一続きで考えます。

販売レーンの能力と厨房能力を合わせる

厨房側だけを設計しても、大型イベントの飲食は回りません。

例えば厨房から1時間に1,000食供給できても、販売レーン側で500食しか処理できなければ、完成した商品が販売側に溜まります。

反対に販売レーンを増やしても、厨房から商品が供給されなければレーンの能力を使い切れません。

必要な販売レーン数については、大型イベントで必要な飲食レーン数の計算方法で、販売数と提供時間から考える方法を解説しています。

厨房と販売レーンを別々に設計するのではなく、

厨房処理能力 → 盛り付け能力 → 商品供給能力 → 販売レーン処理能力

が大きくズレないように全体を組んでいきます。

電源は厨房機器が固まった段階で必ず積み上げる

仮設厨房をつくるとき、かなり早い段階で確認したいのが電源です。

冷蔵庫、冷凍庫、製氷機、スチコン、IH、電気フライヤー、電子レンジ、保温機器。

電気機器を積み上げていくと、想像以上の電源容量になることがあります。

ここで気をつけたいのは、単純に全部の消費電力を足して終わらせないことです。

100V機器と200V機器を分け、それぞれ何kVA必要なのかを整理します。

さらに、

  • どこから電源を取るのか

  • 何回路必要なのか

  • 分電盤をどこに置くのか

  • 厨房までどのくらい配線するのか

  • 同時に起動する機器は何か

まで設備会社や会場側と確認します。

機器リストを作って最後に電源を確認した結果、会場側の条件に収まらず厨房を組み直すことになると、大きな手戻りになります。

メニューと厨房機器を決める段階から、電源容量も並行して確認した方が安全です。

電源容量をギリギリまで使う設計は避ける

計算上は収まっていても、現場では予定どおりにならないことがあります。

複数機器の同時使用、機器の起動、長い配線、発電機からの供給など、仮設環境特有の条件が加わるためです。

特にイベント当日は「電源が足りないからこの機械だけ止めよう」という対応が簡単にできません。

その機器が止まれば、そこを使っている商品の販売自体が止まる可能性があります。

電源容量については、使用する厨房機器の仕様を確認したうえで、会場設備担当者や電気施工会社と事前にすり合わせます。

給水だけではなく排水まで見る

厨房なので当然、水も使います。

手洗い、シンク、洗浄、調理、製氷機など、用途はさまざまです。

問題になるのは、販売したい場所の近くに都合よく給排水設備があるとは限らないことです。

会場によっては給排水ポイントから仮設厨房まで配管を引く必要があります。

このとき給水だけ確認して安心してはいけません。

使った水をどこへ流すのか。

配管をどのルートで通すのか。

来場者の動線と交差しないか。

厨房の床をどう処理するのか。

油を扱う場合はどうするのか。

こうした条件まで含めてレイアウトを決めます。

厨房の位置を先に決めてしまい、後から給排水が引けないことが分かると、販売エリア全体のレイアウト変更につながります。

人が交差する厨房は処理能力が落ちる

厨房機器が十分にあっても、スタッフ同士がぶつかる厨房では大量提供できません。

例えば冷凍庫から商品を取り出すスタッフと、完成品を販売レーンへ運ぶスタッフが同じ通路を使う。

盛り付け担当の後ろを補充スタッフが何度も通る。

ゴミを搬出する動線と食材を搬入する動線が重なる。

こうした小さな交差が、ピークになると一気に処理能力を落とします。

基本的には、

保管 → 下準備 → 加熱 → 盛り付け → 最終仕上げ → 販売

と商品が一方向へ流れる配置をつくります。

厨房レイアウトは機器を置いてから人を配置するのではなく、商品とスタッフがどう動くかを先に考えてから設備を配置した方が組みやすくなります。

厨房設備とスタッフ人数はセットで考える

厨房機器を増やせば、そのまま処理能力が上がるわけでもありません。

加熱、盛り付け、ドリンク、商品補充、受け渡しなど、それぞれの工程を動かす人員が必要になります。

例えばフライヤーを追加して加熱能力が2倍になっても、盛り付け担当が同じ人数なら、今度は盛り付け工程に商品が溜まる可能性があります。

必要なスタッフ数については、大型イベント飲食で必要なスタッフ人数の計算方法で、販売数やピーク時間から人員を考える方法を解説しています。

設備、人員、販売レーン。

この3つの能力をできるだけ揃えることが、大量提供を止めないためのポイントです。

厨房だけ速くても売上は伸びない

大型イベントでは、どこか一つの工程だけを速くしても全体の販売数は伸びません。

厨房で1時間1,000食つくれる。

販売レーンも1時間1,000食渡せる。

それでも会計が1時間500件しか処理できなければ、行列は会計前にできます。

逆に会計だけ高速化しても、厨房から商品が出てこなければ受け渡しで滞留します。

だから、

会計 → 厨房 → 盛り付け → 商品供給 → 受け渡し

を一つの流れとして考えます。

「どこが一番速いか」ではなく、どこが一番遅いかを見る方が実際の改善につながります。

メニュー開発の段階で設備まで見る

これは大型イベントのメニューを考えるときにかなり大事な部分です。

見栄えがよく、IPやイベントとの相性もいいメニューでも、1食つくるのに時間がかかりすぎれば大量販売には向きません。

例えば揚げ物なら、フライヤーの台数だけではなく連続調理したときの油温回復まで見ます。

ご飯ものなら炊飯量だけではなく、保温場所と盛り付け速度を見る。

ドリンクなら製氷能力、冷蔵スペース、カップへの注入、トッピング、受け渡しまで確認する。

冷凍品なら冷凍庫容量だけではなく、いつ解凍し、どこで保管し、どの状態で厨房へ持ってくるのかまで決めます。

数千食規模になると、1食あたり10秒余計にかかる工程でも全体では大きな差になります。

「このメニューをどうやってつくるか」だけではなく、**「このメニューを数千食どうやって出すか」**まで考えるのが、大型イベントの商品開発です。

保健所と会場ルールはメニュー確定前に確認する

仮設厨房でできることは、会場や開催地域、営業形態によって変わります。

そのため、厨房をつくる案件では管轄する保健所と会場側への確認を早めに行います。

メニューを全部決めてから確認すると、予定していた調理工程ができず、商品そのものを変更しなければならないことがあります。

特に現場でどこまで調理するのか、仕込みをどこで行うのか、どの設備が必要なのかは事前確認が必要です。

大型イベントの飲食運営会社を見るときも厨房設計は重要

大型イベントの飲食を外部へ依頼する場合、当日の販売スタッフを何人用意できるかだけで会社を選ぶのはおすすめしません。

数千食規模になれば、その前段階にある販売数予測、商品設計、厨房能力、電源、給排水、スタッフ配置、販売レーン設計までが当日の売上に影響します。

大型イベントの飲食運営会社の選び方でも解説していますが、実際にどこまで設計・運営を任せられるのかは事前に確認しておきたい部分です。

単に人を集めて販売する会社と、飲食エリアそのものを設計する会社では担当範囲が違います。

大型イベントの仮設厨房は飲食エリア全体から逆算する

大型イベントの厨房設計で避けたいのは、それぞれを別々の工程として考えてしまうことです。

販売数は販売数。

メニューはメニュー。

厨房機器は厨房機器。

電源は電源。

スタッフはスタッフ。

販売レーンは販売レーン。

これでは、最後に全部を組み合わせたときに数字が合わなくなることがあります。

Team Cafe Tokyoでは、まず来場者数や飲食利用率から販売数を想定し、メニューごとの調理工程と提供時間を確認します。

そこから必要な厨房能力、機器台数、冷蔵・冷凍容量、電源、給排水、スタッフ数、販売レーンまでを組み立てます。

目指しているのは、大きな厨房をつくることではありません。

予定している販売数を、ピーク時にも止めずに提供できる飲食エリアをつくることです。

大型イベント、展示会、IPイベント、フェスなどの飲食エリアについては、Team Cafe Tokyoの大型イベント飲食企画・運営でも対応内容をご紹介しています。

販売数の予測からメニュー開発、仮設厨房、厨房設備、電源・給排水、スタッフ配置、販売レーン、当日の運営まで、案件の規模に合わせて設計します。

大型イベントの飲食運営や仮設厨房についてお困りの場合は、お気軽にご相談ください。

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大型イベントの飲食設計について、工程ごとに詳しく解説しています。

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