イベントでドリンクを販売するには?必要な許可・保健所確認・アルコール販売まで解説

イベントでドリンクを販売するには?
イベントやフェスでは、フードと並んでドリンク販売が重要な売上になります。
ペットボトルや缶飲料を販売するだけのイベントもあれば、オリジナルカップにドリンクを注いだり、氷やシロップを使ってイベント限定ドリンクを提供したり、ビールやサワーなどのアルコールを販売したりするケースもあります。
一見すると同じ「ドリンク販売」ですが、実際には提供方法によって確認すべき内容が変わります。
特に注意したいのは、未開封の商品をそのまま販売する場合と、会場で飲料を調製してカップ提供する場合を同じように考えないことです。
またアルコールについては、食品衛生上の確認だけでなく、販売方法によって酒類販売業免許に関する手続が関係する場合があります。
この記事では、イベント主催者・制作会社・飲食運営者向けに、イベントでドリンクを販売するときに整理しておきたい提供方法、設備、衛生管理、アルコール販売までを解説します。
イベントのドリンク販売は「何を売るか」より「どう提供するか」を先に確認する
イベントでドリンクを販売するときは、商品名だけで判断せず、実際の提供方法まで整理します。
例えば「レモネードを販売する」という計画でも、既製品のペットボトルを販売するのか、業務用飲料をカップへ注ぐのか、会場でシロップと水を混ぜるのかによって作業工程が異なります。
さらに氷、果物、トッピングなどを使用すれば、必要な設備や衛生管理も増えます。
ドリンク企画の段階で、まず次のように分類すると整理しやすくなります。
- 未開封のペットボトル・缶などを販売する
- 既製飲料をカップへ注いで提供する
- 会場で複数の材料を混ぜてドリンクを作る
- 氷やトッピングを使用する
- アルコールを提供する
同じドリンクブースでも、この違いによって必要な設備や確認事項が変わります。
未開封のペットボトルや缶を販売する場合
イベント会場で比較的シンプルに扱いやすいのが、メーカーなどが製造した未開封の商品をそのまま販売する方法です。
ペットボトル飲料、缶飲料などを仕入れ、会場では開封や加工をせず商品として渡します。
この方式では、会場でドリンクを調製する工程がありません。
そのため大量販売を行う場合にもオペレーションを単純化しやすく、短時間で商品を渡せるというメリットがあります。
一方でイベント当日は大量の飲料を冷却する必要があるため、営業上の確認だけではなく、冷蔵能力やストック場所も重要になります。
カップへ注ぐ場合は提供工程が一つ増える
同じ既製飲料でも、ボトルのまま販売する場合とカップへ注いで提供する場合ではオペレーションが変わります。
カップ、蓋、ストローなどの資材が必要になり、スタッフが商品を開封して注ぐ工程も発生します。
イベント限定カップやキャラクターデザインの容器を使用できるため、イベントらしさを演出しやすい方法です。
その一方で、数千杯を販売するイベントでは「注ぐ」という一工程だけでも大きな作業量になります。
例えば1杯を完成させるのに20秒かかれば、一人で1時間に理論上180杯です。
実際には商品補充、氷補充、カップ準備などがあるため、それより少なくなります。
ドリンクは調理が少ないから大量販売しやすいと思われがちですが、販売数が増えると充填作業そのものがボトルネックになることがあります。
イベント限定ドリンクは調製工程を整理する
IPイベントや企業イベントでは、イベント限定のオリジナルドリンクを作ることがあります。
シロップ、炭酸水、ジュースなどを組み合わせたり、複数の色を使ったり、キャラクターやブランドをイメージした商品を作ったりする方法です。
この場合は完成した商品だけを見るのではなく、会場で何を行うのかを整理します。
例えば、
カップ準備 → 氷 → シロップ → 飲料 → トッピング → 蓋 → 提供
という工程なら、1杯あたり6工程あります。
1日100杯なら対応できても、1日3,000杯となればスタッフ人数や作業台の広さまで変わります。
オリジナルドリンクではデザイン性だけではなく、イベント本番で再現できる工程数にすることが重要です。
氷を使うドリンクは製氷量まで計算する
イベントドリンクで見落とされやすいのが氷です。
1杯に使用する氷の量が少なく見えても、数千杯になると必要量は大きくなります。
例えば1杯あたり150gの氷を使用し、2,000杯販売する場合は単純計算で300kgです。
150g × 2,000杯 = 300kg
これだけの量になると、小型の製氷機1台を置けば十分という話ではなくなります。
製氷機の製氷能力、イベント前に確保できるストック量、保管場所、追加搬入の方法まで考えます。
特に夏季の屋外イベントでは、ドリンクだけでなく保冷用途にも氷を使用する可能性があります。
必要量を販売予定数から逆算しておくことが重要です。
冷蔵庫は容量だけでなく冷やす能力を見る
ドリンク販売では冷蔵庫も重要な設備です。
ただし「500Lの冷蔵庫だから500L分の飲料をすぐ冷やせる」と考えるのは危険です。
常温で納品された大量の飲料を短時間で冷却しようとすると、冷蔵庫へ大きな負荷がかかります。
そのためイベントでは、あらかじめ冷やした状態で納品する、冷蔵ストックを複数に分ける、冷却済み商品を順次補充するなどの方法を検討します。
売場の冷蔵庫だけではなく、バックヤード側のストックまで含めて考える必要があります。
ドリンクブースでは「作る場所」と「渡す場所」を分けることがある
販売量が少ない場合は、一つのカウンターで注文からドリンク作成、受け渡しまで完結できます。
しかし販売量が増えると、注文を受けるスタッフとドリンクを作るスタッフを分けた方が処理しやすくなることがあります。
例えば、
会計 → 注文情報 → ドリンク作成 → 受け渡し
という流れです。
複数種類のドリンクを扱う場合は、商品ごとに担当を分けたり、ベース飲料を共通化したりすることで作業を単純化できます。
イベントの飲食ブース全体の動線については、大型イベントの飲食ブース設計|会計・厨房・受け渡しの動線をどう作る?で詳しく解説しています。
ドリンクの種類を増やしすぎると販売能力が落ちる
イベントでは来場者に選択肢を提供するため、ドリンクの種類を増やしたくなることがあります。
しかしSKUが増えるほど、材料、容器、仕込み、保管場所、注文確認などが複雑になります。
特にオリジナルドリンクの場合、商品ごとに別のシロップ、別のトッピング、別の容器を使用すると作業ミスも起きやすくなります。
大量販売を目的とする場合は、見た目は異なっていてもベース工程を共通化できないかを考えます。
例えば使用する炭酸水やベースジュースを共通化し、シロップや資材で商品ごとの差を作る方法です。
こうすることで世界観を出しながら現場工程を増やしすぎない設計ができます。
カップ・蓋・ストローは販売予定数より多めに準備する
イベントドリンクでは飲料原料だけでなく、資材の欠品にも注意が必要です。
ドリンク原料が残っていてもカップがなくなれば販売できません。
カップ、蓋、ストロー、スリーブなどは商品提供に直結するため、販売予定数と同数だけではなく、破損や作業ミスなども考慮して発注します。
特にオリジナル印刷を行った資材は、イベント当日に追加調達できないことがあります。
既製品で代替できる資材と、イベント専用品として代替できない資材を分けて安全在庫を設定します。
オリジナルカップはデザインだけでなく納期を見る
IPイベントや企業プロモーションでは、オリジナルカップやスリーブを作ることがあります。
イベント限定感を出しやすい一方、印刷物には製造納期があります。
デザイン監修、校正、製造、納品まで時間が必要になるため、ドリンクメニュー決定と資材発注を別々に進めると間に合わなくなることがあります。
また、最終販売予定数が確定するまで待っていると発注期限を過ぎる場合もあります。
イベント専用資材は、数量予測と制作スケジュールを同時に管理する必要があります。
イベントでアルコールを販売するときは別の確認が必要になる
ビール、ワイン、サワー、日本酒などのアルコールを扱う場合は、ソフトドリンクと同じ考え方だけでは足りません。
特に未開封の酒類を消費者へ販売し、販売場所とは別の場所で飲用することを想定した販売については、酒税法上の酒類販売業免許が関係します。
イベント会場などに臨時の販売場を設けて酒類を小売する場合には、期限付酒類小売業免許の制度があります。
国税庁では、博覧会場や即売会場などで臨時に酒類を小売する場合、原則として販売場開設日の2週間前までに期限付酒類小売業免許を申請する仕組みを案内しています。
また、一定の要件を満たす場合には、販売場開設日の10日前までの届出によって期限付酒類小売業免許を受けたものとして扱われる制度もあります。
実際のイベントでどの手続が必要になるかは販売方法によって異なるため、開催前に販売場所在地を所轄する税務署へ確認します。
「その場で飲ませる酒」と「酒を商品として販売する」では考え方が異なる
イベントでアルコールを扱うときに特に注意したいのが、「酒を提供すること」と「酒類を商品として小売すること」を混同しないことです。
例えば飲食ブースでカップへ注いだビールを来場者がその場で飲むケースと、未開封の缶ビールや瓶を商品として持ち帰れる形で販売するケースでは、酒税法上の確認事項が同じとは限りません。
「イベントで酒を出すからこの許可」と自己判断せず、具体的な販売方法を説明して確認することが重要です。
国税庁も、物産展や祭りなどで臨時に酒類を販売する場合の期限付酒類小売業免許について案内しています。
アルコール販売では年齢確認の運用も決める
アルコールを扱う場合は、販売許可関係だけではなく、20歳未満の者への酒類提供を防止する運用も必要です。
イベント会場では大量の来場者が短時間に注文するため、混雑してから年齢確認方法を考えるのでは遅くなります。
例えば販売時に身分証を確認する、年齢確認済みのリストバンドを使用するなど、イベント全体の運営方法に合わせてルールを決めます。
複数の販売ブースがある場合は、店舗ごとに判断方法が違わないよう主催者側でルールを統一することも重要です。
ドリンク販売でも開催地を管轄する保健所へ確認する
イベントで飲料を調製・提供する場合は、開催地域や営業形態に応じた食品衛生上の確認が必要になります。
東京都でも、一定の行事における臨時営業・臨時出店について、行事開催場所を所管する保健所へ事前相談するよう案内されています。
他地域でも制度や扱いが異なることがあるため、過去に別のイベントで認められた方法だから今回も同じ、と判断するのは避けた方がよいでしょう。
販売予定商品、提供工程、使用設備などを整理してから、開催地を管轄する窓口へ確認します。
フードを含めたイベント出店全体の許可確認については、イベントで飲食物を販売するには?必要な許可・保健所への確認・出店準備を解説でも詳しく解説しています。
大量販売ではドリンク専用レーンを作る方法もある
フードとドリンクを同じ会計・受け渡し場所で扱うと、商品完成時間の違いによって待ち時間が長くなることがあります。
例えばフードは完成まで60秒、ドリンクは15秒で提供できる場合、同じ列にするとドリンクだけ購入した来場者もフード完成を待つ可能性があります。
販売数が多いイベントでは、ドリンク専用窓口を作る方法があります。
特にペットボトルなど即時提供できる商品は、専用販売口を作ることで高い処理能力を作りやすくなります。
一方、フードとのセット購入が多いイベントでは、会計を統合した方が来場者にとって分かりやすい場合もあります。
商品構成と購買行動を見ながら決めます。
イベントドリンクの販売数はフードと分けて予測する
フードとドリンクは同じ購入率になるとは限りません。
夏の屋外イベントではドリンク需要が大きくなり、冬季イベントでは温かい飲料へ需要が集中することがあります。
また、IPイベントではドリンク特典を目的に複数杯購入されるケースもあります。
そのため「来場者10,000人だからドリンク3,000杯」と単純に決めるのではなく、イベントの季節、開催時間、客層、フードとのセット率などを考えて販売予測を作ります。
販売数の考え方については、大型イベントで必要な飲食販売数の計算方法|来場者数から発注数・安全在庫まで予測する方法も参考にしてください。
ドリンク販売ではゴミ処理まで設計する
ドリンクを数千杯販売すると、同じ数だけ容器が会場内へ出ます。
カップ、ペットボトル、缶、ストローなど、商品構成によって廃棄物の種類も変わります。
イベント終了後だけでなく開催中にもゴミ箱が満杯になるため、回収頻度と一時保管場所を決めておきます。
特に液体が残ったカップをそのままゴミ箱へ捨てると、袋の重量増加や漏れにつながります。
必要に応じて残液処理の方法も検討します。
「商品を渡したらドリンク運営は終了」ではなく、来場者が飲み終わった後まで含めて会場運営を考える必要があります。
イベントドリンクを企画するときの進め方
イベントでドリンク販売を計画するときは、次のような順番で整理すると進めやすくなります。
- 想定来場者数と販売数を決める
- ソフトドリンク・アルコールの構成を決める
- 未開封販売かカップ提供かを決める
- 1商品ごとの提供工程を作る
- 氷・冷蔵・給水など必要設備を確認する
- 開催地で必要な営業上の確認を行う
- アルコールを扱う場合は販売方法に応じた手続を確認する
- カップ・蓋・ストローなどの資材数を算出する
- 販売速度から必要な作業人数を決める
- 商品保管・補充ルートを決める
- 会計と受け渡し方法を決める
- ゴミ回収まで含めて運営計画を作る
イベントドリンクでは、商品開発と同時に設備・資材・販売工程を決めていくことが重要です。
Team Cafe Tokyoのイベントドリンク企画・運営
Team Cafe Tokyoでは、イベント・フェス・IPイベントなどのフードだけでなく、オリジナルドリンクの商品開発から販売オペレーションまで対応しています。
イベントの世界観に合わせたメニューを作るだけではなく、販売予定数から必要な原料、カップ、氷、冷蔵設備、作業人数、販売レーンなどを設計します。
特に数千杯規模の販売では、1杯ずつ複雑な作業を行うのではなく、商品ごとの工程を整理し、短時間で安定して提供できる仕様へ落とし込むことが重要です。
フードとドリンクを一体で扱うイベントについても、厨房、販売ブース、会計、受け渡しまで含めて全体設計できます。
大型イベントの飲食企画・運営については、Team Cafe Tokyoまでお気軽にご相談ください。
イベントドリンクは「簡単に出せる商品」と考えない
ドリンクはフードと比べて調理工程が少ないため、大量販売しやすい商品です。
しかし販売量が増えるほど、氷、冷蔵、資材、充填、商品補充、ゴミ処理などの作業量は大きくなります。
またイベント限定ドリンクでは、デザイン性を高めるために工程を増やしすぎると、ピーク時の提供速度が落ちることがあります。
イベントドリンクを大量販売するときは、「何を売るか」だけでなく「1時間に何杯提供できるか」まで商品設計に含めることが重要です。
許可や営業条件についても、商品仕様が決まってから確認するのではなく、提供方法を検討する段階から開催地の関係機関へ相談しておくと手戻りを減らせます。
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