TCT JOURNAL

カフェ居抜き物件の選び方|開業前に確認する10項目

アンティーク家具に囲まれた店内

カフェ居抜き物件は、コーヒー・紅茶・フードの提供計画から選ぶ

居抜きでカフェを開くメリットは、厨房設備や内装を有償で買い取る、または無償で引き継ぐことで、新規購入や工事の費用を抑えられることです。カウンターや作業台、冷蔵庫などが自分の営業に合えば、その分の資金をコーヒー機器、商品づくり、運転資金へ振り向けられます。

大切なのは、残っている設備に店を合わせるのではなく、提供したい一杯や料理に使える設備を見極めること。この記事は小さなカフェや喫茶店を想定し、物件選びで確認する10項目を整理します。調理負荷が高い飲食店の設備・契約については、飲食店居抜き物件の確認ガイドも参照してください。

物件・居抜き選びの入口と内見チェックリスト

1.何を、いつ、何人で提供するかを決める

ドリップコーヒーと仕入れ菓子の店、エスプレッソと店内製造の焼き菓子の店、ランチを作るカフェでは、必要な設備が違います。主力メニューを仮決めし、仕入れ・保管・仕込み・抽出・盛付・提供・洗浄まで書き出してから物件を見ます。

一人営業なら、注文対応中に抽出や加熱の手が止まらないか、冷蔵庫の扉が通路をふさがないか、返却された食器の置き場があるかを確かめましょう。席が多く取れることと、少人数で回せることは別の条件です。

2.有償取得と無償引継ぎの範囲を確認する

造作譲渡料が設定されている物件だけでなく、設備を無償で引き継げる物件もあります。ただし「無料でもらう」のか「貸主等から無料で借りる」のかは区別してください。所有者が異なれば、故障時の扱いや、交換・処分の承諾も変わります。

「厨房一式」という表現だけで進めず、冷蔵庫・製氷機・手洗い器・シンク・給湯器・棚・客席家具など、残るものと持ち出されるものを一覧にします。リース機器は契約先への確認が必要です。参考:飲食店ドットコム・居抜きの基礎知識。

3.コーヒー・紅茶の提供工程をカウンターに当てはめる

豆を挽く、抽出する、ミルクを扱う、カップを置く、商品を受け渡す。その一連の動きが、会計や食器返却とぶつからないかを見ます。紅茶中心なら、茶葉の保管、抽出待ちのポット、湯量の確保、洗浄後の乾燥場所も検討します。

機器本体が置けるだけでは十分ではありません。メーカー指定の設置条件、作業スペース、給排水、保守のための空間まで含めて確認します。候補機器の仕様書と図面を専門業者に渡し、使う機器を同時運転できる計画にしましょう。

4.電気・給排水・換気は専門業者に確認する

エスプレッソマシン、オーブン、食洗機、製氷機、冷蔵庫を使うなら、電源の方式・電圧・供給能力と機器の仕様が合うかを確認します。コンセントがあることだけで、接続できるとは判断しません。ガス機器を使う場合も、都市ガス・LPガスなどの仕様と供給条件を合わせます。

菓子を焼く、フードを加熱する計画なら、換気・排気、給湯、排水、清掃のしやすさも重要です。必要な工事が貸主に認められるか、費用・工期が予算内かを確認してください。参考:テンポス・厨房機器の選定術。

5.手洗い設備を「残る設備」として確定する

内見時にあった手洗い器やシンクが、前の店の退去時に持ち出される場合があります。厨房内と便所の手洗い、給湯器などを設備一覧へ書き、残すもの・撤去するものを合意します。引渡し時には、その一覧と写真を現物に照らして再確認します。

手洗い設備は、位置だけでなく流水式であることや水栓の構造なども確認事項です。食品を洗うシンクがあるから手洗い設備も足りる、と自己判断しないでください。予定メニューと施設図面を管轄保健所に示し、不足があれば設置費・接続費・工期を見積もります。参考:食品関係営業許可申請の手引。

6.営業許可・消防・建築を別々に確認する

物件・設備だけを引き継ぐ通常の居抜き開業では、自分たちを営業者とする飲食店営業許可を取得します。前の店の許可を無手続きで使うことはできません。店内飲食に加え、菓子の製造・販売などを行う場合は、その内容に必要な許可・届出を保健所で確認してください。工事前の図面相談が重要です。参考:台東区・食品営業を始める方へ。

事業そのものの譲渡(事業譲渡)には営業者の地位承継制度がありますが、設備を買うだけの居抜きとは別の手続きです。該当する場合は保健所に確認します。また、消防への届出や必要設備、建築上の用途・改修の適否は別途確認が必要です。参考:新宿区・営業許可等の手続き(地位承継届)、東京消防庁・テナント入居の流れ。

7.立地は「自店を使う人が通る時間」で見る

駅に近いかだけでなく、朝の持ち帰り、昼の食事、午後のお茶のうち、何を主な利用場面にするかを決めます。曜日と時間を変えて、自店が想定する人が歩いているか、入口に気づくか、入りやすいかを観察してください。人通りの多さをそのまま来店客数にはできません。

住宅街の静けさを活かしたいなら、早朝の仕込み、ミルの音、テラス利用、ごみ回収が近隣と両立するかも確認します。入館時間や営業時間の制限がある建物では、仕込みと納品まで含めて一日の予定を当てはめましょう。詳しくは小さなカフェの立地選びへ。

8.居抜きとスケルトンを同じ費用範囲で比べる

再利用できる設備の分だけ、購入・工事の支出を減らせるのが居抜きの強みです。一方で、譲渡費、不要設備の撤去、修理・清掃、不足設備の追加、搬入・接続を含めなければ、比較が不公平になります。スケルトン側も、どこまで設備が付いているかを物件ごとに確認します。

たとえば、候補Aの「設備・内装を営業可能にする費用」が、譲渡80万円+修理・清掃20万円+追加設備・工事70万円=170万円。候補Bで同じ範囲を整える見積りが230万円なら、この範囲の差は60万円です。これは計算方法を示す仮の例で、相場でもTCTの実績でもありません。保証金・家賃・その他の開業費や運転資金は含んでいないため、最後は全体の必要現金で比べてください。

返還される可能性がある保証金も、開業時には資金が拘束されます。必要現金の一覧と会計上の費用は分けます。参考:日本政策金融公庫・創業の手引+ 飲食業。

9.賃貸条件・譲渡条件・退去条件を一緒に読む

設備を買う話と、物件を借りる話が両方成立するよう、貸主の入居承諾、予定業態、引渡し日、支払時期、契約が成立しない場合の扱いを確認します。無料の設備も、所有者と修理・撤去の負担を書面で整理します。

契約期間、解約予告、違約金、保証金の償却、原状回復の範囲も見ます。定期建物賃貸借は更新なく期間満了で終了する制度で、再契約が当然にできるわけではありません。居抜きで借りたから同じ状態で返せる、とも限りません。契約担当者や必要に応じて弁護士へ相談してください。参考:国土交通省・定期建物賃貸借。

10.利益計画と資金繰りを分け、引渡しまで確認する

毎月の売上・原価・人件費・家賃などで損益を検討し、それとは別に、借入元金の返済や設備代の支払を含めた資金繰りを作ります。借入元金の返済は、損益計算の費用と同じではありません。売上が計画を下回った場合や、開店が遅れた場合も資金が足りるか試算します。

契約前の確認が終わっても、引渡し日に手洗い器・厨房設備・接続状態を再確認します。写真、型番、数量、合意内容が一致しているかを見ることで、「あったはずの設備がない」を早く発見できます。内見・引渡しチェックリストを、内見と引渡しの二回に分けて使ってください。

よくある質問

造作譲渡料が無料の物件もありますか?

あります。ただし、設備の無償譲渡と無償貸与は同じではありません。引き継げる対象と所有者、修理・撤去費を確認し、新規購入をどれだけ減らせるかで判断します。

手洗い器がない居抜き物件は選べませんか?

不足設備を設置できるか、予定する営業で必要な施設基準を満たせるかを、管轄保健所と専門業者へ確認します。設置の可否や工事費が未確認のまま契約判断をしないことが大切です。

前の店と同じカフェなら、すぐ開業できますか?

自分たちの営業許可等の手続き、必要設備、貸主条件を確認する必要があります。同じ業態でもメニューや設備の引渡し状態が異なるため、開業日を先に確定しないようにします。

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Team Cafe Tokyoは、実店舗運営や商品開発の視点で、コンセプト、メニュー、厨房・提供動線、少人数で回す運営計画の相談を受けています。物件の有無にかかわらず、希望エリア、時期、主力メニュー、想定人数、迷っている点をお知らせください。

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制度・公的情報の確認日:2026年10月15日。TCT編集部が公的情報と業界資料を照合し、独自に構成・執筆しています。個別物件の条件は契約書・図面・現況と所管窓口で確認してください。

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