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HARIO「V60」が2026年度ロングライフデザイン賞を受賞|注ぎ方を生かす設計とは

HARIO V60透過ドリッパー02セラミックでコーヒーを淹れる様子。公式発表の製品写真

HARIO株式会社は2026年10月15日、コーヒー器具「V60透過ドリッパー」が、2026年度グッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞したと発表しました。東京・日本橋に本社を置く耐熱ガラスメーカーの定番製品が、長く使われてきたデザインとして評価されたニュースです。受賞対象の特徴を知ると、カフェや自宅で目にする円すい形の器具にも、違った見方ができそうです。

長く使われる道具として評価された、V60のかたちと背景

V60は2005年に誕生し、2007年度にもグッドデザイン賞を受賞しています。今回の発表で焦点となるのは、新色や新機種の発売ではなく、既存の製品が暮らしの中で果たしてきた役割です。円すい形の本体、内側の凹凸、底の穴はそれぞれ独立した飾りではありません。お湯の流れや空気の抜け方に関わり、淹れる人が一杯を調整する余地をつくっています。

ロングライフデザイン賞は何を評価する賞?

主催する公益財団法人日本デザイン振興会は、この賞の対象を、10年以上にわたって販売・提供され、利用者の支持を得ながら今後も継続が見込まれるデザインとしています。対象は道具だけでなく、建築やサービス、コンテンツなどにも広がります。長い販売期間に加え、使い手との関係や、これからも残ってほしい価値に目を向ける点が特徴です。

2026年度は99件が審査対象となり、9件が受賞しました。HARIOの発表に掲載された審査委員のコメントでは、注ぎ方によって味を調整できることや、プロから家庭まで使い手が広がったこと、抽出を数値化したレシピが共有されていることに触れています。器具そのものの形状に加え、一杯のコーヒーを工夫して淹れる文化も評価の背景にあると読めます。

出発点は、理化学用のガラス器具

HARIOの公式解説では、社内にあった三角ロートとろ紙でコーヒーを淹れたことがV60につながる出発点とされています。同社は1921年に理化学品の製造・販売から事業を始めたメーカー。日常のコーヒー器具に、実験で液体をろ過するための道具の発想がつながっているのが興味深いところです。

1980年には一人用の円すい形ドリッパー「珈琲狂時代」を発売。その後、円すい形を発展させ、ネルドリップの味をペーパーフィルターで手軽に楽しめるよう開発されたのが現在のV60です。名前は円すいのV字と60度の角度に由来します。見慣れた形にも、使い方と抽出方法を考え直してきた経緯があります。

円すい形・一つ穴・リブが担う役割

まず円すい形は、コーヒー粉の層を深くし、お湯を中心へ向かわせるための形です。HARIOは、お湯が粉と接することで成分を抽出する仕組みとして説明しています。見た目の細さだけに注目するより、フィルターを入れた内側にどのような粉の層ができるかを思い浮かべると、形の意味を理解しやすくなります。

底面の大きな一つ穴は、お湯を注ぐ速度による調整をしやすくする設計です。メーカーの説明では、速く注ぐかゆっくり注ぐかによって味わいを変えられます。ただし、味の感じ方は豆や抽出条件でも変わります。「この器具なら必ず同じ味になる」と考えるより、好みに合わせて注ぎ方を工夫できる点に注目したいところです。

内側のスパイラルリブは、らせん状に伸びる凹凸を指します。フィルターと本体の間に空間をつくり、蒸らしで粉が膨らむ際にも空気が抜けるようにする構造です。本体の形だけでなく、紙が触れる面の設計まで抽出に関わっています。手元のV60を使う前に内側を見ると、今回の受賞理由として紹介された機能を具体的に確かめられます。

HARIO V60耐熱ガラス透過ドリッパー02でお湯を注ぐ様子。公式発表の製品写真

画像出典:HARIO株式会社/PR TIMES公式プレスリリース。本文はV60耐熱ガラス透過ドリッパー02、アイキャッチはV60透過ドリッパー02セラミックの公式写真です。

素材の展開と、手元の器具を見直す楽しみ

V60は樹脂、耐熱ガラス、有田焼のセラミック、金属など、複数の素材で展開されています。今回の公式発表にも、ガラス、白いセラミック、チタンの製品写真が掲載されています。同じV60という名称でも、使う素材やサイズが異なるため、購入を考える際は型番ごとの仕様を確認すると選びやすくなります。

すでにV60を使っている人にとっても、受賞は使い方を振り返るきっかけになります。公式の「V60の世界」には、製品の歴史だけでなく、フィルターのセットや湯通し、蒸らし、注ぎ方の案内があります。新たな道具を探す前に、普段使っている器具の仕組みと公式の手順を見比べてみるのも一つの楽しみ方です。今回のニュースを入口に、長く手元に置けるコーヒーの道具を考えてみてはいかがでしょうか。

受賞の詳細はHARIOの公式発表、賞の選考対象と年度結果は日本デザイン振興会の2026年度受賞結果で確認できます。設計・歴史・基本の淹れ方はHARIO「V60の世界」にまとまっています。

情報確認日:2026年10月16日。製品の仕様・販売状況はメーカーの最新案内をご確認ください。

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