TCT JOURNAL
紅茶の生産量世界一はどこ?インド・中国の違いと統計の見方

紅茶だけを見ると、IBEFはインドを世界最大の生産国と紹介しています。一方、緑茶などを含む茶全体では中国が最大とされます。この記事では紅茶と茶全体、生産量と輸出量を区別し、日本紅茶協会が公表する2024年の紅茶生産量も、対象年を明示して紹介します。
紅茶と茶全体、生産と輸出を分けると順位の違いがわかる
本文では確認できた公的機関・業界団体の資料を参照し、統計の対象年や歴史的な出来事の時期を区別しています。

紅茶だけの生産量と、お茶全体の生産量は別
「紅茶の生産量は世界一なのに、お茶の生産量では2位」と聞くと矛盾して見えます。しかし、紅茶を集計した数字と、緑茶などを含む茶全体の数字を比べているなら、結果が違って当然です。ランキングを読むときは、まず何を数えているかを確認してください。
IBEFのインド茶紹介は、インドを世界最大の紅茶生産国・消費国と説明しています。一方、FAOのお茶の解説では中国を茶全体の最大生産国として紹介しています。同じteaという英語でも、black teaに限定した記述かどうかで意味が変わります。
このページは2026年の国別紅茶生産量を独自に推計したランキングではありません。確認できる機関の説明と、年次が明示された公表値を分けて示します。未確認の国別数値を足し合わせたり、古い順位に「最新」と付けたりしないことを重視しています。
| 項目 | 数えているもの | 間違えやすい点 |
|---|---|---|
| 紅茶の生産量 | 製造された紅茶(black tea)の数量 | 緑茶やウーロン茶を含む統計と混ぜない |
| 茶全体の生産量 | 複数の茶種をまとめた数量 | 「紅茶だけの順位」と読み替えない |
| 茶葉の収穫量 | 摘み取った生葉などの数量 | 乾燥・加工後の製品重量とは違う |
| 輸出量 | 国外へ出荷した数量 | 国内で消費する分を含む生産量とは違う |
| 輸出額 | 輸出取引の金額 | 価格差があるため重量順位と一致しない |
世界の紅茶生産量は、2024年で約352万トン
日本紅茶協会の「2025年紅茶業界10大ニュース」には、世界の紅茶生産量は2024年で約352万トンと記載されています。資料の整理時点は2025年12月です。「2025年のニュースに載っている数字」でも、数字が表す年は2024年という点を区別してください。
同資料には主要産地の2025年途中の生産動向もありますが、通年の確定値ではありません。しかも産地によって集計月が違うため、途中経過をそのまま年間の順位表へ使うことはできません。前年同期比の増減率は、その国の変化を見る指標として読むのが適切です。
インドが紅茶の生産国として知られる理由
インドにはアッサム、ダージリン、ニルギリなど、茶の産地として知られる地域があります。IBEFの公式紹介では、生育環境や製造技術がインド茶の特徴を支える要素として挙げられています。ただし、生産国の規模を一杯ごとの味や品質の順位に置き換えることはできません。
「インド産」とだけ書かれた説明より、産地、茶園、摘採期、製造方法の情報があるほうが具体的な茶葉選びにつながります。生産量の記事で国の位置付けを知った後は、商品の表示に戻り、自分が飲む茶葉の情報を確認してみてください。
また、国内でたくさん飲まれる国では、生産した茶のすべてが輸出されるわけではありません。生産量が大きいのに輸出の順位が同じでないことは不自然ではなく、国内消費と貿易を別に考える必要があります。
中国のお茶生産と紅茶を混同しない
中国は緑茶を含む幅広い茶の生産・消費と関わる国です。FAOの解説も、茶全体の生産と中国で親しまれる緑茶について分けて説明しています。「茶の最大生産国」という記述を見つけても、それだけで紅茶の最大生産国と断定しないようにしましょう。
中国の統計でも輸出と生産は別です。中国政府サイトに掲載された2024年の茶貿易報告では、輸出の中心が緑茶であることが説明されています。これは貿易の構成を示す情報であり、茶全体の生産量や紅茶の生産順位を示すものではありません。
ケニアやスリランカの名前をよく見るのはなぜ?
日本紅茶協会の業界ニュースでも、インドに加えてケニアとスリランカが主要産地として取り上げられています。これらの国は紅茶の原産地を調べると出会う名前ですが、国名の知名度、生産量、輸出量は同じ指標ではありません。
複数国の茶葉を使ったブレンドでは、商品のブランド名や販売国だけで原産地を判断しないことが大切です。パッケージの原産国表示と、ブランドが説明するブレンドの内容を見比べると、飲んでいる紅茶の背景をつかみやすくなります。
イギリスは紅茶文化の国。茶の栽培がゼロというわけではない
イギリスの紅茶ブランドに親しんでいても、その製品の茶葉がすべてイギリスで育ったとは限りません。ブランドの所在地、ブレンドや包装を行う場所、茶葉の原産地を分けて読むと混乱を防げます。紅茶文化の知名度から生産量の世界一を推測することもできません。
一方、「イギリスでは茶をまったく生産していない」という説明も正確ではありません。コーンウォールのTregothnanの公式茶園紹介には、1999年に茶樹を植え、2005年に国産茶を商品化した経緯が記載されています。世界全体では小規模であることと、栽培例が存在することは両立します。
数字を比較するときの確認順
最初に茶種、次に単位、最後に期間をそろえます。例えばmillion kgという表記は100万kg単位です。1トンは1,000kgなので、100万kgは1,000トンになります。単位を変える際は、この換算を挟んでから比較します。
続いて、生葉なのか製茶後なのか、暦年なのか会計年度なのか、速報なのか確定値なのかを確認します。原料の水分が残る生葉と乾燥後の茶、1月〜12月と年度集計を混ぜると、見た目が整った表でも比較として成立しません。
国ごとのページから数字を集める場合、各国の最新値が同じ年とは限りません。欠けた国の数値を前年から補い、同じ年のランキングと表示するのは避けてください。記事に数字を載せるときは、数値のすぐ近くに対象年と出典を置くと、読み手が確認しやすくなります。
カフェで紅茶を選ぶときは、生産量以外を見る
TCTの編集上の提案として、カフェの茶葉選びでは生産量の順位より、ブラックで提供するか、ミルクを合わせるか、アイスで出すかを先に決めると比較しやすくなります。順位が高い国の茶を選べば、どのメニューにも合うというわけではありません。
仕入れでは、同じ茶葉でも一杯当たりの使用量、抽出時間、温度、提供量をそろえて試すことが役立ちます。これは国別ランキングとは別の比較です。カフェの歴史と飲み方の関係は、カフェと喫茶店の歴史でも扱っています。
まとめ|「何の世界一か」を明確にする
紅茶の生産国を尋ねるときは、black teaに限定しているかを最初に確認しましょう。IBEFはインドを最大の紅茶生産国と紹介し、茶全体では中国が最大とするFAOの説明があります。日本紅茶協会が掲載した世界の紅茶生産量は、2024年で約352万トンです。
生産、輸出、消費、ブランドの販売国を同じものとして扱わないことが、統計を正しく読む近道です。数字を知った後は、実際の商品の産地や作り方にも目を向けると、いつもの紅茶の選び方が具体的になります。
確認に使用した資料
IBEF Indian Tea/FAOのお茶の解説/日本紅茶協会2025年10大ニュース/中国政府掲載の2024年茶貿易/Tregothnan公式茶園紹介